『CSS Nite in SAPPORO, Vol.9「いま必要なSEO」』レポート

前回の記事(【完全版】「Googleの変化から理解するSEOのトレンド」)に引き続いて『CSS Nite in SAPPORO, Vol.9「いま必要なSEO」』のレポートをお届けします。講演セッションのラストである辻正浩さんによる「ひとりでもできる、理想のSEO」をレポートいたします。

辻正浩さんはSEO業界の方から「辻大先生」と呼ばれており、SEOの玄人内で非常に評価と知名度が高い方です。辻さんの名前が一躍世に知られたのは『CSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」』でのnanapi.jpのSEOのお話がきっかけだったと思います(nanapiのSEOについてはリンクした記事以外にも多数言及されていますので、ご興味ある方は「nanapi seo」と検索してください) 。nanapiについてはSEOの結果、”一年弱で検索流入数が約四倍“と大変素晴らしい実績を残されています。また、最近でははてなブログのSEOの記事も話題でした。

CSS Nite in SAPPORO、講演のラストは辻さんのセッション「ひとりでもできる、理想のSEO」です。今回、初めてSEOをテーマにしたCSS Nite in SAPPOROでの講演ラストとして辻さんは元々、札幌で働かれていたこともあり、もっとも相応しい方ではないでしょうか。

辻さんは現在、フリーランスのSEOディレクターとして、数十サイトのSEOのアドバイザーを行なっています。大規模なWebサービスのSEOが最も得意とのことです。辻さんについて、さらに多くの情報を知りたい方は下記のリンクをご覧ください。

Web:web>SEO
twitter:@tsuj
Google+:辻正浩

「なんでも屋」としてのSEO

辻さんは「ひとりでもできる、理想のSEO」として、主にインハウスでSEOを行なっている担当者向けのお話となりました。

まずは辻さん自身の経歴についてのお話です。営業から社会人生活をスタートし、その後は制作へ。札幌の5年間では、なんと合計7社に所属。そのような職歴となると、仕事は常に「立ち上げをやっているか撤退をやっているか」という状況だったようです。そういう状況ですと、体制を作る暇もなく、自然と「なんでも屋」としてWebに関わる仕事は何でも行なっていたようです。

辻さんは力を込めて語ります。「なんでも屋というのはネガティブに捉えられる方が多いと思います。しかし私が思うに、このなんでも屋というのが一番理想的にSEOを行える立場ではないかと考えています」

理想的なSEO施策の結果

辻さんは札幌にて北海道企業のWebサイト制作を行う会社に所属します。辻さん1人が担当者、多くても8人ぐらいの規模という少人数での制作がほとんどでした。その体制の中、「なんでも屋」として様々なWeb制作の業務を行いました。

そのうち辻さんはSEOについて知り、取り組み始めます。しかし所属している会社はSEO専業ではありませんでしたので、Web制作の一部としてのSEOに取り組みます。できることとして、コンテンツの追加と修正ばかりを行なっていきます。

当時はSEOについて住太陽さんとアイレップの渡辺さんの本しか出ていない状況であり、独学でSEOを学んでいきました。その中で試行錯誤をしながら、様々な失敗も行なってきました(セミナーではいくつかの失敗事例を紹介していただきました)。

試行錯誤のSEOの日々の中でも、以下のようなSEOの実績を作ることに成功します。

  • リニューアルで検索流入数が最大15倍
  • ネット予約を中断するほどの予約数増
  • 地名×業種だけではなく、地名、観光地名のキーワードでも複数1位
  • 高難易度の業種名でもいくつか上位表示

ここからは小さな会社の一人しかいないSEO担当ができたことを紹介します。多くの方ができる方法です。どのようなSEOを行い、このような結果を残せたのでしょうか。

SEOを考えたWebサイトの設計

「制作会社にいると、SEOを考えたWebサイトの設計を最初からできたのが大きかった」と辻さんは語ります。「最初の設計をしっかり行うことがとても重要です。Webサイトの構造をリニューアルせずとも、新規で考えることができます。Webサイト制作から関わると、新規で設計ができます。提案段階で関わることができることによって、SEO上、理想の状態でスタートを切ることができます」

SEOを外注で行う場合、多くの場合はサイト構築後にSEOを行うことになります。そのサイトがSEOに配慮しているサイト設計であれば良いのですが、ほとんどの場合はSEOに配慮しているサイト設計になっていません。SEO設計ができてないサイトのSEOは困難を極めます。そのため場合によっては、SEOを目的としたサイトリニューアルを行うこともあります。しかし、制作会社で新規サイト構築からに関わると、SEO設計を配慮したサイト作りができます。SEO上、理想の状態からスタートすることができるといえます。

サイト構造化を行う

実際のSEO手法の話に入っていきます。まずは構造化です。nanapiのSEO手法でも触れられていましたが、サイトの構造化は極めて重要です。ここからは辻さんのお話を元に、各手法を説明させていただきます。

サイトの構造は極めて重要

例えば下記のような日本の都市を紹介するサイトがあったとします。(※下記の例は辻さんのセッションを参考に作った別例です)

(並列化されたサイト設計)
並列化されたサイト設計

これは構造化されていないサイトになります。SEOに配慮し、構造化されているサイトは以下のようになります。

(構造化されたサイト設計)
構造化されたサイト設計

上記の図のように並列化ではなく、分野・ジャンル毎に構造化させることが重要です。

内部リンクが命

内部リンクで構造を作ることが大事になってきます。上記例でいえば、「渋谷」や「六本木」のページには必ず、「都市」のリンクを設ける。「都市」には「渋谷」や「六本木」のリンクを設けます。上下のリンクをしっかり張ることが大事です。具体的にはコンテンツ上部の目立つ位置にリンクと、パンくずリストを必ず設けます。

可能であればURLも構造化する

可能であれば、URLに関しても構造化をすることが大事です。先ほどの日本の都市を紹介するサイトの例をあげれば、

都市ページ
渋谷ページ
六本木ページ

というようなURL設計を行ったほうが、若干ではありますが、「検索エンジンの評価は高まりやすい」と辻さんはおっしゃていました。

評価させたいページ直下にページを増やす

構造化されていれば、特定のページの評価を上げることも可能です。例えば、上記図の「都市」についての評価をあげたい場合は、下層のページを増やします。例えば「都市」の下に「新宿」や「品川」というように増やし、「都市」へのリンクを貼ります。

「寿司」についての評価をあげたい場合は下層に「寿司ネタ紹介」ですとか、「寿司の店紹介」、「寿司の歴史」などのページを新たに作成します。そのように正しく構造化し、コンテンツを増やしていくことによって、サイトのSEO評価を上げることができます。

しかし、下層にページを作ることがサイトの構造上できないかもしれません。ですので、新規サイトを設計する段階から、ページを増やすことができるサイト設計にしておけばページを増やすことは容易です。「これもサイト設計からSEOに関われることのメリット」と辻さんはおっしゃっていました。

サイト内部・企画

構造化を行ったSEO設計を行った後はどのようなことを行えば良いでしょうか。サイトの内部施策についてのお話や、SEOを考えた企画について紹介いただきました。

勝手にテキスト・リンクを変更できる許可をもらっておく

SEOを考えたサイト改善を行なっているときに「ちょっとしたテキスト変更したい」ということはよくあると思います。そのとき、サイト管理者に理由付きでテキスト変更の依頼をするのはめんどうなものです。許可が取れるまで、1〜3日ぐらいかかるときがあります。それが複数続くと、気軽に変更することが徐々にできなくなってくると思います。

辻さんおすすめの方法としては、あらかじめ「勝手にテキスト・リンクを変更できる許可をもらっておく」ということです。Webサイト内の文章や内部リンクは「内容が変わらない限り、自由に変更して良い許可」をあらかじめもらうことによって、気軽な変更やトライアンドエラーといったものを行いやすくなります。許可を取る連絡をする時間も省略できますので(お客様の確認の時間を省くこともできます)、よりSEOに掛けられる時間を長く持てるということがいえます。

辻さんは「このトライアンドエラーの結果、個人的なノウハウの蓄積をすることができた」と語っていました。

SEOを考えたコンテンツ企画を行う

SEO会社ではすでに構築されているサイトに対しての修正を行うことしかできませんが、制作会社としてサイトを作りの初期から関わっていますと、SEOを考えたコンテンツの企画・制作を行いやすくなります。特定のキーワードを狙うためのコンテンツ群の追加やコンテンツ修正を行うこともできます。これによって、流入はもちろん増え、被リンクも増やすことができ、なおかつ、制作会社ということでページ制作の仕事もいただけ、予算も増額することができたようです。

被リンク元を把握・報告を行う

辻さんは制作兼営業兼SEO兼アクセス解析担当として、業務をされていました。業務でアクセス解析レポートを報告するのですが、他に「今月の新規被リンク」というのを報告していたようです。

お客様のサイトに「どのようなリンクが先月貼られていた」や「このような言及があった」ということを毎月報告。そのことによって、お客様も徐々にコンテンツに対して、リンクが貼られるコンテンツかどうかということを考えていただけるようになったそうです。そのうち「これはリンクになるんじゃないか?」と先方担当者が言ってくださるようになり、SEOに対しても協力体制が築けてきたようです。

どうすればリンクは集まる?

ではどのようなコンテンツがリンクを生むのでしょうか。辻さんは掘り下げて語っていました。

「『良いコンテンツを制作していればいつか評価される』という方がいます。それは本質ではありますが、言い切れない。素晴らしいコンテンツだけど、ネットでは話題にならないコンテンツはたくさんあります」

ではネットで話題になるコンテンツとはどういうものでしょう。辻さんは二つのポイントを上げます。
・リンクを張る人が好む情報を知る。
・リンクを張る人がいるところに出向く。

リンクを張る人が好む情報を知る

例えば、渋谷の情報は溢れかえっているので、ネット上ではあまり話題になりません。それよりは秋葉原の情報のほうがネットで話題になりやすく、リンクになりやすい、ということがあるようです。札幌であれば中央区のほうがリンクになりやすいというお話もされていました。札幌駅周辺や大通、すすきの、それらの場所に近い穴場スポットというのがあればリンクになりやすいと私も感じました。

リンクを張る人がいるところに出向く

全ての人がリンクを貼るわけではありません。リンクを貼る人がいるところに出向くことも必要です。今であれば、Twitterで影響力がある人にインタビューするなども良い手法というお話をされていました。大事なのはリンク元を観察し続けるいうことのようです。リンクされたコンテンツを見ることによって、「リンクしてくれる人」をイメージし、どういうコンテンツがリンクされやすいかという勘を養っていくことの大切さを感じました。

全てがリンクを意識したコンテンツを作るのは大変です。ですので「5記事や10記事に1記事はリンクを獲得しやすい、ネットに迎合した記事を出してもいいのではないでしょうか」と堅実的なアドバイスもされていました。

どうして理想のSEOを行うことが可能だったのでしょうか

辻さんはどうして理想のSEOを行うことが出来たのでしょうか。

多くの領域を把握することができた

一つ目は「多くの領域を把握することができた」という点です。Webサイト以外にもCM制作、紙の広告などの全領域を担当することによって、紙ものに入っているコンテンツで、ネットでウケるようなコンテンツはネットにも掲載するように働きかけることが容易でした。これも理想のSEOです。

また、「アクセス解析を用いたことも大きい」と辻さんは語ります。「アクセス解析は生命線。制作側とお客様側で同じ方向を向くためのツール」という言葉に気付かされる方が多かったのではないでしょうか。

お客様と制作が、発注主と受注側という対立関係では、結果として良い成果物ができることが難しいと感じます。本当に私たちが見るべきものはサイト発注者であるお客様の向こう側にいる、お客様です。お客様のお客様に喜んでいただくコンテンツを提供するためには、制作側とお客様側で同じ方向を見る必要があります。そのためのツールとしてのアクセス解析ということをおっしゃっていたのだと感じます。

任せてもらえた

二つ目は「任せてもらえた」という点です。お客様に信頼され、丸投げして任せてもらえることが可能だったため、勝手にサイトをどんどん修正し、改善することができました。

SEOの知識

三つ目は「SEOの知識」という点です。辻さんが”SEOの知識”と語ると、高度な知識が必要に感じますが、辻さんは「ある程度のSEO知識」という点を強調しておられました。また、深い知識ではなく、「本一冊の知識+お客様のWebサイトでの実践」で十分というように話されていました。SEOに関するおおよその疑問は本一冊に書いてあることが多い、ということです。その後は実践が大事です。

理想のSEOの成功に必要なこと

「理想のSEOを札幌で行うのは難しいことではない」と辻さんは語ります。SEOに特化した方というのは、Web制作の一部の知識しかありません。検索エンジンはサイトの様々な点を評価しつつありますので、SEOに特化した方のWeb制作の一部の知識では、もう理想的なSEOをすることが難しくなってきつつあるのです。一方、「何でも屋」というのは、Webサイト制作において、全ての知識がありますので、検索エンジンの求めることについて、対応がしやすいのです。

「東京には特化した方が多いと思います。だが、札幌では私の経験上、何でも屋と呼ばれる方が多いと思います。他の地方でもそうですが、全般を必死にやろうとされている方が非常に多いと思います。それは苦しい作業ですが、SEOには価値が出るものだと思っています」

東京以外の地方では予算の関係上、一人、または少人数でWeb制作に関わり、なんでも行うケースが多くなっています。それが何でも屋です。そのことが地方から専門家を生み出すことができない要因ではありますが、同時に何でも屋はWeb制作に関わる全般を行うことが可能です。全般を行えることこそが、理想のSEOなのです。

お客様と密接に繋がるためには、お客様に信頼いただくことにより任せてもらい、SEOという特定分野だけではなく、Webサイト制作のあらゆる分野において知識を持ち、多くの領域を担当できることが必要です。そして書籍一冊分のSEOの基礎知識が必要、とまとめます。

幅広い領域に対応できる人がお客様と密接につながってSEOの知識を持つ。そしてある程度の実践を行う。これこそが理想のSEOと考えています」

辻さんは最後にSEOに期待できること話して締めくくります。

「今話したSEOについては簡単にできることではありません。ですが、成果をあげればお客様には認めてもらえます。これは制作にもプラスになります。SEOで全てのサイトの問題が解決できるわけではありません。しかし、アクセスさえ集まれば、案外多くの問題は解決できます。それだけの力がSEOにはあります。SEOができれば、サイトはまだまだ新しい力を発揮できるはずです。SEOの成果でお客様と一緒に喜べるはずです。ぜひともまず取り組んでみるということをおすすめいたします」

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CSS Nite in SAPPORO「いま必要なSEO」でお話してきました by @tsuj
辻さんが書かれたレポート記事です。

辻正浩氏のセミナー、ひとりでもできる、理想のSEO感想 | CSS Nite in SAPPORO
こちらも詳細に書かれているイベントレポート記事です。

以上で 『CSS Nite in SAPPORO, Vol.9「いま必要なSEO」』の「Googleの変化から理解するSEOのトレンド」 のレポートは終了です。以下は株式会社24-7主催のSEOセミナーのご案内です。

「Webクリエイターに足りない、本当のSEOスキル」を開催

CSS Nite in SAPPOROとしては初のSEOイベントが行われましたが、株式会社24-7としても初のSEOイベントを行います。SEOの第一人者である住太陽さんを札幌にお招きいたしまして、「Webクリエイターに足りない、本当のSEOスキル」の札幌版を2013年6月15日(土)15時から開催することとなりました。

「Webクリエイターに足りない、本当のSEOスキル」の初回は岡山で開催され、全国的に大反響を巻き起こしたセミナーです。大阪版はイベント告知開始から数時間で用意した60席は満席となり、増枠後もすぐ満席。現在はキャンセル待ちとなっている大変人気のセミナーです。

多くの方がイメージされている従来のテクニック重視のSEOとは違った視点でSEOの話を聞くことができるセミナーです。普段、Web制作を行なっているWeb制作者が「クライアントから求められることは何か」ということを中心に、Webクリエイター、Web制作会社が知るべきこと、今後やるべきことを考えていきます。

SEOの第一人者である住太陽さんの話を聞くことのできる大変貴重な機会となっておりますので、ぜひご参加ください。

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Webクリエイターに足りない、本当のSEOスキル|EventRegist(イベントレジスト)

 

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