顧客を幸せにするためにリーダーが取り組むべきこと

インバウンドマーケティングには4つのステージがあります。よく知られている「見つけられるマーケティング」という解釈は、第一のステップ「Attract」のことでWebサイトへの集客をする段階です。今回は第四のステップ「Delight」について考えてみようと思います。顧客にリピート購入や製品のアップグレードを検討してもらい、顧客と長い関係を築いていこう、という段階です。Happyな従業員が顧客をHappyにするとも言われていますが、では従業員がHappyになるためにはどうしたらよいのでしょうか。

9月に開催された INBOUND 2014 での、サイモン・シネック氏によるキーノート「LEADERS EAT LAST: WHY SOME TEAMS COME TOGETHER AND OTHERS DON’T」から、優れたリーダーと組織の作り方についてご紹介します。

人間は自己を犠牲にし互いに協力するソーシャルアニマル

プレゼンテーションでは、アフガニスタン紛争で地上部隊を支援する米軍パイロットのストーリーが紹介されました。ある日、雲が厚く地上の様子が確認できないため「上空待機」という指示がでていました。しかし、彼は危険を承知で雲を突き抜けて下降し、岩にぶつかるギリギリのところで上空に戻ってくるという操縦を何度も何度も繰り返しました。

自分の命をかけての大変危険な行為でした。彼は、上空で待機をしている間に地上にいる22人の仲間が危険な目にあっている、ということが自分の死よりも耐えられなかったと語っています。仲間のために自己を犠牲にするという行為は、他の動物には見られないことです。

常に危険に囲まれていた狩猟時代

狩猟時代、人類は常に猛獣や飢餓、厳しい自然などの生存を脅かす危険に囲まれていました。また、食料を入手することが一番の優先事項でした。狩猟時代は、人類史の90%以上を占めると言われており、この時代に必要とされた身体の能力や機能が、現代の私たちにも大きな影響を与えています。ランニングなど体を動かしたくなったり、苦しいのに走り続けることができたりするのは、獲物を追い続けていた祖先の名残なのです。

また、一人で生き抜くにはとても厳しい時代でした。部族を結成し皆で協力することで外敵から仲間を守ってきたのです。

成功をもたらす4つの化学物質

戦場や狩猟時代のような命の危険はなくても、私たちは常にリスクと直面しています。リスクに立ち向かい熱心に効率良く働いたり、周りと協力して良い結果を出したりするために体内の4つの化学物質が影響しています。自己の能力を高め、目標達成に向かって努力を続けることができる「セルフィッシュ」物質と周囲と協調し、人と一緒に働くことに喜びを感じる「セルフレス」物質の2つに分類されます。

1.エンドルフィン
エンドルフィンには、身体の痛みを和らげる作用があります。ランナーズハイと呼ばれる現象もこのホルモンの分泌と関係があると言われています。古代の時代に食べ物が見つかるまで探し続けることができたのも、エンドルフィンのおかげです。

2.ドーパミン
競争に勝つことや目標を達成することに喜びを感じるのはドーパミンの作用です。ボーナス等の報酬やTo Doリストの効果を高めます。とても中毒性が高いという特長もあります。

3.セロトニン
他人に認められたときに喜びを感じるのはセロトニンの影響です。自分に自信を持てるようになります。グループで活動する時に、仲間から認められること、必要とされることは非常に重要です。

4.オキシトシン
愛情や友情、深い信頼感を生み出すのはオキシトシンです。 オキシトシンがなければ、寛大な行いや他人への共感、信頼関係を築くことはできないし、子どもを育てることやビジネスを成功させるために助け合うこともできないでしょう。

オキシトシン

リーダーの仕事は信頼と協力の環境を作ること

狩猟時代の名残で、私たちは外敵から身を守るために安全のサークルを作ります。ビジネスの世界では、急激な株価の変化や競合製品の登場、移り気な消費者の行動が常にリスクとしてついてきます。安全のサークルの中では互いに助け合おうという協力の感情が芽生えます。共に働く仲間を信頼できるから、互いを思いやり、守り合うのです。

このような環境はリーダーが指示を与えても作ることはできません。信頼関係がない組織では、互いへの不信感が募り、相手を出し抜こうという雰囲気で満たされています。当然仕事に集中できず、外敵に立ち向かうこともできません。組織として弱くなり、競争相手に負けてしまうでしょう。

今からできる!信頼できる組織にするために

組織のリーダーが従業員の信頼を失ってしまう行動の一例です。忙しく動きまわっている人も多いと思いますが、ポイントは、相手のために自分の時間を使うことです。

1.携帯ばかり見ている
目の前にいる従業員のことを一番に考えること。その人といる時間を尊重し、コミュニケーションに集中することで信頼関係が高まります。人と話すときは携帯をポケットにしまいましょう。

2.従業員に嘘をつかせる
面倒な営業電話がかかってきたときに、「今いないって言っておいて」と頼んでいませんか。あなたの部下は、相手に嘘をつくことになります。いい気持ちではないはずです。

3.飲み終えたコーヒーをそのまま放置
オフィスの最後の一杯のコーヒーを飲んでしまったら、次の人のために作っておきましょう。他の人のために、という気持ちがオフィス内に浸透していくはずです。

4.なんでもかんでもEメール
何かをしてもらった時のお礼をEメールで済ませていませんか。Eメールは簡単すぎます。取り返すことができない資源である時間とエネルギーを費やすことが、相手を尊重することにつながります。

5.全てが自分の手柄のように話す
その成功は一緒に働いている仲間の努力があってもたらされたはずです。次にスピーチすることがあれば、まず従業員に感謝の言葉を述べることから始めてみましょう。

ビジネスの目標は数字をつくることで達成されるでしょう。そのための仕組みや制度を整えることはとても大切なことです。忘れてならないのは、数字を作るのは従業員だということです。従業員が自分の仕事を誇りに思い、互いに助けあって働くことで、制度だけでは達成できない成果が生まれることでしょう。成功している企業の文化が「家族のような」と表現されることと無関係ではありません。

顧客のことを一番に考えることも重要ですが、まずは従業員が幸せな気持ちで働くことができているかどうか、オフィスの中を見渡してみませんか。

Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don’t
※2015年2月19日追記:日本語版が2月25日に出版されます!「 リーダーは最後に食べなさい!

 


インバウンドマーケティング入門04 Delight(ファンを増やす)