第1回「インバウンドな」Webサイトとは? 〜ユーザーの購買プロセスに基づいて設計する
- 2013年09月18日 11:56
- インバウンドマーケティング
あなたのWebサイトやブログにどういう人が訪れているか理解していますか。ページビューが倍増しても、リードや顧客が増えなかったり、リピーターになってもらえなかったり、顧客と長い関係を築けなかったりという問題を抱えていませんか。コミュニケーションの方法が間違っていたり、テストやリサーチが十分に行われていなかったり、とってつけた意思決定プロセスで失敗してはいませんか。これらの問題に共通して不足しているのは「プラン(計画)」です。
プランがあれば、
- 「ユーザーに何をしてもらいたいか」と考えることはありません
- 「ユーザーは何をしようとしているのか」と考えます
- 従来のアウトバウンドマーケッターのような考え方でコンテンツを作成しません
- ユーザーが実際に使っている言葉を用いてコンテンツを作成します
- 「ユーザーは購入する準備ができている」と思わなくなります
- 現在抱えている問題を解決するため、ユーザーのペースで情報を提供します
ユーザーの行動を購買プロセスに当てはめて考える
ユーザーの購買プロセスは、企業や製品ごとに異なります。20以上のステージに分類している企業もあります。ここではHubSpotのインバウンドメソロジーを例に考えてみましょう。
インバウンドメソドロジー(HubSpotのライフサイクル)
HubSpotでは、ユーザーのライフサイクルを5つのステージに分けています。
- Strangers(まだ接点のないユーザー)
- Visitors(サイトの訪問者)
- Leads(リード、見込客)
- Customers(顧客)
- Promoters(宣伝者、ファン、ブランドアドボケイト)
ライフサイクルのステージ別にユーザーが疑問に思っていること、彼らの問題を解決するにはどういうツールを使用したらよいかをみていきましょう。対象商品は「HubSpot」です。「HubSpot」というマーケティングツールはどのような購買プロセスを経て、ユーザーに導入されるのでしょうか。
HubSpotの購買プロセス
1.ストレンジャー(まだ接点のないユーザー)
ユーザーがこのステージで疑問に思うこと
・ソーシャルメディアはどうやって計測するの?
・Googleの検索結果で上位に表示させるにはどうしたらいいのだろう
マーケッターが使用するツール
・ソーシャルメディア
・ブログ
ユーザーはオンラインマーケティングを行う上で問題を抱えていますが、まだ「HubSpot」という解決方法に気がついていません。
2.訪問者
ユーザーがこのステージで疑問に思うこと
・SEO対策として何をしたらよいだろうか
・TwitterかFacebookに労力をかけるべきか
・ブログはどのくらいの頻度で書いたらよいのだろう
・HubSpotって何?
マーケッターが使用するツール
・ランディングページ
訪問者のステージで、ユーザーはHubSpotの存在に気が付きました。インターネットマーケティングについては、ストレンジャーのステージと比べてより具体的な内容を知りたいと思っています。
3.リード(見込客)
ユーザーがこのステージで疑問に思うこと
・HubSpotでできることを知りたい。費用はどのくらいかかるのか
・SEOツールに含まれる機能って?
・HubSpotのソーシャルメディアツールではLinkedInもトラッキングできるのか
・HubSpotとGoogleアナリティクスとはどう違うのか
マーケッターが使用するツール
・Eメール
・シグナルズ
リードのステージでは、ユーザーはさらに具体的なHubSpotの情報を求めています。購入の準備ができるまで教育しましょう。
4.顧客
ユーザーがこのステージで疑問に思うこと
・キーワードツールはどうやって使うの?
・どうやってブログの投稿をスケジュールすればよいのか
・リードナーチャリングを設定する方法は?
・HubSpotの担当者は誰か
顧客となったユーザーは、実際にHubSpotを使ってわからないことに直面しています。個別にサポートが必要です。
5.プロモーター
ユーザーがこのステージで疑問に思うこと
・他のHubSpotユーザーと情報交換をしたい
・インバウンドカンファレンスに行ったほうがいいだろうか
・いつ次のバージョンに製品をアップグレードしたらいいだろうか
製品に満足したユーザーは、さらなる情報や交流を求めています。疑問に答えて、さらに製品のことを好きになってもらいましょう。
ライフステージが異なれば、ユーザーが興味を持つコンテンツやユーザーに接触する方法も異なります。ブログを読んで自分の抱えている問題に気がついたばかりのユーザーに製品紹介のメールを送っても相手にされないでしょう。また、購入段階にいるユーザーには業界のトレンドをお知らせするのではなく、営業担当が直接コンタクトをとった方が効果的です。
カスタマージャーニーマップを使ってユーザーの行動を設計する
ユーザーがサービスを利用する際、購買プロセスのそれぞれの段階(ユーザーのライフサイクル)において、サービスとのタッチポイント、ユーザーの行動、感情、思考を視覚化したもの
ライフステージごとにユーザーが疑問に思っていること、実際にとる行動、感じていること、考えていること、Webサイトで提供すべき情報は異なります。それぞれのライフステージごとに次の項目について考えます。
- どんな疑問を持っているか(Questions)
- 何をしているか(Doing)
- 何を感じているか(Emotions)
- どういう考えを持っているか(Thinking)
ヨーロッパ全域の鉄道パスやチケットを販売する代理店「Rail Europe」のサービスを利用するユーザーの体験をまとめたカスタマージャーニーマップの例を見てみましょう。
(参照元:The Anatomy of an Experience Map)
例えば、旅行についてリサーチをしているユーザーは、公式Webサイトやレビューサイトをチェックしたり、Googleで評判を調べてみたり、実際の友人に話を聞いたりします。(リサーチ&プランニングステージ)
疑問に思っていること(Question)
- ヨーロッパを簡単に周遊する方法はあるだろうか
- どこに行こう
- アクティビティにはどのくらいの時間がかかるかな
感じていること(Emotions)
- ヨーロッパへ行くことを楽しみにしている
- 隈なく見ることができるかな
- 予算内に収まるといいな
ユーザーが探しているところに求めている情報はあるか、疑問に思っていることに対する答えを提供できているか。どのチャネルでユーザーと接触するのが一番最適か。情報を提供するタイミングは、早すぎても遅すぎてもユーザーの役に立たないでしょう。今まさに情報を欲しているユーザーに、最適な情報を適切なタイミングで届けることができるように計画を立てることが重要です。
<まとめ>
- ライフサイクルにフォーカスする
- ユーザーの質問には適切なタイミングで答える
※参照元:JOSH PORTER氏によるセッション「HOW TO DESIGN AN INBOUND WEBSITE」(INBOUND 2013)