リードスコアリング

今回の記事では、先日お伝えした「マーケティングオートメーションはメール配信の自動化、というわけではない。」に関連した「リード情報はどうやって自動的にマネージメントすべきものか?」という内容をお伝えします。

昨今のマーケティングオートメーションの大流行によって、多くの企業のマーケティングの担当者たちがメール自動配信とならんで注目しているのが「リード情報の管理プロセスを自動化すること」です。

HubSpotやMarketo、その他諸々のプラットフォームの出現により、リード情報の取得が比較的容易になってきています。それらのツールを用いて施作を行い獲得したプロフィール情報を、購買の可能性が高いリードごとに自動的に優先順位をつけ、優先度の高いリード情報へ営業担当がアプローチできるようになる、ということがメールの自動配信と並んで多く聞かれるマーケティングオートメーションへ対する期待事項です。

しかしながら、リード情報の管理を自動化する前に行うべきことが欠けているケースが比較的多くあります。

今回のブログでは、リード情報管理の自動化の手法として特に注目されるリードスコアリングについてお伝えします。

リードスコアリングとは?

リードスコアリングとはリード情報の自動管理方法の一つで、「セールスチームとマーケティングチームが共有するリードのセールスレディネス(営業をしても問題ないかどうか)を測るスコア」のことを示します。

そのスコアを構成する指標には、一般的なデモグラフィック情報に加えて、購買に対する行動、興味関心事、さらには役職などの会社に関係する情報などがあります。特定の条件に基づいて決められた指標に合わせてスコアを加減し、換算された合計スコアを元に営業をかけても問題ないかを決めるために用います。

そのため、マーケティングオートメーション機能のひとつであるメール配信の自動化に対してよくある誤解と同様に、スコアを計算する流れを設計し自動化することによって営業担当の人たちがより簡単に見込み客に近づける、と考えられています。その考え方は正しいのですが、前提としてマーケティングチームとセールスチームの連携(Service Level Agreement)が取れている必要があります。

では、実際にリードスコアリングを用いてどのようにリードをマネージメントしていくべきなのでしょうか。

優先順位をつけるほど十分なリード数を獲得できている?

リードスコアリングを行いたい!という時にまず考えなくてはいけないことは、あなたは質の高いリード情報を営業担当の人たちが困るほどたんまり渡しているのかどうか?です。(前提として、マーケターとセールスチームがService Level Agreementを結ばなくてはいけない、ということです
(参照はこちら:How to Create a Service Level Agreement (SLA) for Better Sales & Marketing Alignment

あなたの会社のセールスチームは、マーケティングチームの受け渡した全てのリードに対してアプローチできる状態でしょうか。ビジネスゴールを達成するためにコールドコールなどをかけなくてはいけない状態ではリードスコアリングで優先順位をつける必要はありません。(※マーケティングチームが会社に存在することが前提です

リードスコアリングは、あくまでリードの優先順位をつけるためにあります。ごくごく当たり前のことなのですが、そもそも優先順位が必要にならないほどセールスチームにパスするリードの数が少なければ、リードスコアリングは営業のプロセスを複雑化するだけです

その前にすべきことは、まずはビジネスゴールを達成するためにセールスチームの営業担当の人が必要なリードの数を確保することです。
多くの企業では、営業担当の人たちがそもそものリード数が少ないために手当たり次第コールドコールをしている場合がほとんどです。このような状態ではスコアリングのプロセスを優先的に考えるべきではありません。

すべきことは優先順位をつけるために十分な質の高いリード数を確保することです。そのために、例えばランディングページの最適化やフォーム項目の数を増減させてみる、検索キーワードを見直す、コンテンツの数を増やしてみる、などをまず行うべきです。

それらリードジェネレーションの施作を進め、SLAに基づいた、十分な数の質の高いリードを獲得できるような準備をすすめることが、優先させるべきことです。

リードの数が十分確保できたあとにすべきことは?

前述したとおり、リードスコアリングに用いる指標には、一般的なデモグラフィック情報や、役職などの会社に関係する情報(ファーモグラフィック情報)など、さまざまな情報が存在します。またリードインテリジェンスとよばれる、何回ウェブページを訪問し、閲覧し、どのプレミアムコンテンツ(プロフィール情報を入力する代わりにダウンロードできるコンテンツ)を獲得しているかなどの要素がリードスコアリングの定義決めを行う上で鍵となります。

では、どのような情報に基づいてリードスコアリングをすべきかを見てみましょう。

ファーモグラフィック(Firmographic)情報

一般的な営業の優先順位をつけるプロセスでも考慮する会社関係の情報になります。その4つの要素の頭文字をつなげてBANTといいます。

  1. 予算(Budget):ターゲットとなる人がそもそもあなたの製品サービスを購入するための予算を持っているのか、その予算が自社の製品サービスのソリューションの価格帯とマッチするのかを確認しましょう。同じ企業内でも部門によっては異なる予算を保持していることが多いので注意が必要です。
  2. 職位 (Authority):ターゲットとなっている見込み客が決裁権を持っている人かどうかも重要です。その方の会社での職位を注意深く観察し、決裁権を持っているか、業界に影響力を持つ人か、それとも情報を探している職位のない人なのかどうかを見極めるなどが必要です。
  3. ニーズ(Needs):見込み客にとって製品サービスが課題や悩みを解決するための価値を提供できるかどうかを見極めましょう。価値を提供できない場合は、自社内のリソースやコストをかけて価値を見出せない可能性が高い見込み客に対して製品サービスを提供しなくてはいけなくなってしまいます。
  4. タイミング(Time):見込み客が製品サービスを購入するのはいつになるかどうかも重要な要素です。会社によって決算や予算をつけるタイミング、またビジネスゴールを達成するためのタイミングが異なります。自社にとってよいタイミングはいつなのかを見極める必要があります。

ただし、ファーモグラフィック情報はデモグラフィック情報と同様にセグメンテーションを行うときによく用いられる情報ですが、これらはあくまで企業からの目線にたって定義づけられることが多い情報です。顧客目線に立ったスコアリングの基準をつくることが、BANT情報よりも重要です。

リードインテリジェンス情報

消費購買力の増加に伴い、見込み客の目線に立ち彼らが重要視する要素もスコアリングを考える際に考慮すべきです。(関連記事はこちら:2020年までに営業とマーケティングに起こる5つの劇的な変化
そのためリードインテリジェンスといわれる、「リードがどのような購買行動を行っているか」を示す要素にもスコアを与える(引く)ことが重要になってきます。

  1. ページビュー:どのようなページを見込み客は見ているでしょうか。例えば、製品サービスの価格のページだとしたら、購買直前の段階の見込み客かもしれません。また、すでにあなたのウェブページを50ページ以上見ている人は、3ページしか見ていない人たちよりもあなたの製品サービスに興味をもっているかもしれません。
  2. ダウンロード:購買のステージによってダウンロードするコンテンツは異なります。例えば、製品サービスの事例(ケーススタディ)コンテンツをダウンロードしている人よりも、業界の傾向などをまとめたレポートなどのコンテンツをダウンロードしている人の方が購買に対するモチベーションが高い可能性があり、そのような場合はスコアリングを高めに設定する方が自然と考えることができます。
  3. 頻度:あなたのウェブサイトへの訪問頻度も非常に重要な検討要素です。例えば、あなたのサイトを今月3回訪問している人と、15回の訪問をしている人ではページビュー同様にスコアが高くなる可能性があります。
  4. エンゲージメント:メールなどを送信した時に見込み客はどのような反応をしたかを確認しましょう。メールを開封しただけでしょうか。それとも、リンク先をクリックしてコンテンツのダウンロードをしましたか?見込み客自身が起こすアクションもスコアリングの指標となります。

上記では主にスコアを加点することをお伝えしました。

前述しましたがリードスコアリングにはスコアを減らすことも非常に重要です。これは、あきらかに見込み客ではないと考えられる人たちのスコアを意図的にさげて、不必要なリード情報を営業チームの営業担当に渡すことを防ぐことになり、見込み客(と思われない)にとっても不必要な営業をうける必要がないなど、両者にメリットをもたらします。

例えば、

  • メルマガ購読の解除
  • 製品サービスページでない箇所の訪問(採用ページ、プレスリリースページ、投資家情報など)
  • 長期間ウェブサイトへの訪問がない
  • ネガティブなコメントをソーシャルメディア上でする

などがあります。これらの要素などを保持するリードのスコアを減らしてリードをマネージメントすることは重要です。これらを自社のマーケティング戦略に沿って戦略を達成するための戦術を補完する指標としてスコアリングを行っていきましょう。

ただし、あくまでリードスコアリングは営業チームにパスするリードの数が十分にある場合にリードの優先順位をつけるために行うものであるということを忘れないでください。また、その際にはファーモグラフィック情報、デモグラフィック情報だけではなく、リードインテリジェンスを考慮し、決して企業側の都合だけでスコアリングを行うのではなく、見込み客の目線に立ってスコアリングしていくことも重要になります。

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