A/Bテスト

本日のDXブログでは、A/Bテストについてマーケティングの視点からお伝えします。HubSpotには訪問者によりエンゲージメントしてもらえるかを試すことのできるA/Bテスト機能が搭載されており、ランディングページ、Eメール、またCalls-To-Action(CTA)などに対してA/Bテストを行うことができます(契約プランによります)。

A/Bテストができることは、マーケターにとっては非常に魅力的です。A/Bテスト機能を通じてグロースハックのようなことが専門知識を持ち合わせていなくてもできる、と思ってる方が多いな、と相談を受けるときによく感じます。

確かにその考え方は(ウェブ上での施策に焦点を絞れば)当たっています。ただし、A/Bテストは各購買のファネルに対しての施策が適切に行われ、一連のコンバージョンパスが出来上がっており、それらの数字を改善する際に初めて有効になるように感じます。

本日は、A/Bテスト、特にランディングページに焦点を当てて「A/Bテスト」とはどういったもので、どのように行うべきかをお伝えします。

A/Bテストとは?

A/Bテストとは、AとBという2つの対象物に対して管理できる環境下でランダムな実験を行うことです。Webのデザインでは訪問者の興味を最大限に引き出してエンゲージメント(例えば、滞在時間を長くする、ビュー数を上げるなど)をしてもらうためにWebページなどに変化をつけて、その結果を比較します。

また、(デジタル)マーケティング(特にランディングページ)では、ユーザの行動に影響を与えると考えられる1つの要素を定義し、それ以外は全く同一のAというランディングページと、Bというランディングページを用意し、どちらのページがエンゲージメント(どれだけの見込み客を獲得できるか)が高いかをテストします。

その2つのバージョンを一定期間比較し、AとBどちらの対象物が目的としている数値がより良いかを測ります。例えば、以下の例では、AとB という要素の色が異なります。この色の差が各ランディングページの新規コンタクト獲得数にどのような影響を与えるかを測ります。

a/bテスト

(画像参照元:https://vwo.com/ab-testing/

すべてのウェブサイトには目的があり、例えばeコマースの場合はより多くの訪問者に製品サービスを購入してもらうこと、またSaaSの製品サービスだと多くの人にトライアルなどに申し込んでもらうこと、Newsやメディア系のサイトはより多くの人たちに有料購読者になってもらうこと、などがあります。

どのようなサイトにせよ、オーガニック、広告流入、ダイレクト、すべての訪問者に何かしらの足跡を残せてもらえることは、ビジネスの機会を拡大することにもつながります。そのため、A/Bテストを行うことは新規コンタクトの獲得や、問い合わせ、トライアルを申し込む人数を増やすなど、ビジネス(Webサイトのゴール)を達成するために貢献することにつながります。

※A/Bテストには、一箇所のみを変更するA/Bテストと、複数要素を変更して行うA/Bテストが存在します。

A/Bテストが今必要なのか?それとも今後必要なのか?

HubSpotの機能で多く質問を受け、そして同時に喜ばれる内容に、A/BテストをHTML/CSS などの知識を必要とせずに行うことができる、というものがあります。

簡単にA/Bテストができることは、改善が得意でそのプロセスを好むと一般的に言われる職人気質な日本人には向いているのかもしれません。ただし、ほとんどのケースでA/Bテストのような細部の改善よりも、大きな視点での修繕が必要なケースが多々あります。

現在のマーケティング施策は消費者主導で、インターネットではロングテールキーワードを検索する人たちが増えています。Googleの検索機能の向上により検索結果も検索者が望む情報に近いものが表示され、検索者である見込み客がどの購買のファネルにいてもあなたのウェブサイトに自由に飛び込んでくる可能性があります。

(関連記事:ロングテールキーワードがトラフィックにあたえる影響と設定に戦略が必須な理由

tofu mofu bofu

(参照元:How to Properly Deploy content marketing in your sales funnel

上図のようなファネルを見た時に、TOFUから人が順次購買のファネルを下っていくケースもありますが、どこかしらのファネルに突然飛び込んでくる人も多くいます。つまり、どこかしらのファネルに飛び込んできた人たちに対しても適切な回答となるコンテンツを準備したり、それぞれの人たちにコンバージョンパスをもったサイトを作らないと、購買のファネルに大穴があいている、ということになります。

その状態でA/Bテスト、例えばTOFU用のホワイトペーパーのダウンロードのコンバージョン率を上げるためにA/Bテストを行い、コンバージョン率を上げることは、MOFUへ飛び込んでくる人たちの回答となるコンテンツが存在していないと大穴があいている、と言わざるを得ません。つまり、その大穴を塞がなければ、施策の抜本的な改善とはならないということです。

ただし、それは一般的なことで、もちろん例外は存在します。先日お伝えしたカスタマージャーニーに関する記事「購買の流れを理解して、見込み客に最適な方法とタイミングでメッセージを届けよう」では、CPG業界(消費財業界)は比較的有料広告によって購買のプロセス(ファネル)が始まる可能性が高い、ということをお伝えしました。その後、購買の決断のステージ前まで行動頻度が減少し、そのまま購買のステージに飛んでいく、というパターンが多いとお伝えしました(つまり、上記ファネルでいうとMOFUの密度が薄いということになります)。

このようなケースでは上記ファネル図とは異なり、ファネル自体が変則的であることが考えられます。想像すると分かりやすいと思うのですが、比較的安価な消費財などでは、購買までの決断が短かったり(洗剤が切れそうだということを塾考に塾考を重ねて購買に至る人は多くないはずです)することが考えられます。

また、B2Bビジネスで企業規模が大きくなれば、さらにその購買のプロセスは明確になります。そのような際は、購買のファネルの全体像を作り、ファネルのパーツに欠落箇所がないようにすることが高い優先順位をもちます。そのため、A/Bテストを繰り返し、瞬発的なコンバージョン率をあげて見込み客を増やそうとすることは、一旦優先順位を下げる必要があるということです。

A/Bテストを行う際に考慮すべきものとは?

それは、どのトラフィックに対してA/Bテストを行うかという点です。例えば、適切なコンテンツが存在し適切なキーワード戦略に基づきオーガニックと有料広告であなたのサイトに訪問者が来ているとします。
そのトラフィックの発生の源の性質を理解していると、オーガニックのトラフィックの方が一般的にはサイト内のコンバージョン率(例えば、新規コンタクト獲得率)が高くなります。一方で、有料広告での訪問客はあまりコンバージョンをせずにサイトから離脱することが非常に多く、低いコンバージョン率を計測します。

オーガニックでトラフィックを発生させることは、理論的には無料です(現実はコンテンツが必要になりますので無料ではありませんが)。対して、有料広告は、アドワーズであったり、フェイスブックなどの広告、アドネットワークなどコストをかけて発生する有料トラフィックになります。

それゆえ、より質(確度)の高い見込み客をセールス担当者に渡すことを仕事とするマーケターとしては、見込み客獲得単価を下げるために行うための優先度の高さは、有料広告のトラフィックに対して行うことがより向いている、ということになります。

A/Bテストを簡単にできることは非常に魅力的ですし、その方法を説明しているブログや本も多々あります。このブログを読まれている方たちもそのようなブログを読まれたことがあるかもしれません。ただし忘れてはいけないのが、前提として自社の状況、業界、業種によってA/Bテストを行うべきかどうかは全く異なります。そのようなことを念頭に置き、本当に必要なのかどうかをまず考えることがA/Bテストを行う前に重要なことか、と思います。


HubSpotガイド