データを可視化し「データ主導の意思決定」で営業活動を効率化!HubSpot Sales ダッシュボードとは?

営業担当のみなさんは、日々の営業活動においてどうやってひとつでも多くの成果を生み出すことができるか、頭を悩ませていらっしゃることでしょう。またどうしても必要な業務である「社内報告」の時間や手間についても悩みを抱えていらっしゃるのではありませんか。
一方で、営業マネージャーのみなさんは、チームの活動状況や生産性を日々把握し、より多くの成果を生み出すために適切なマネジメントをタイムリーに実行できているかどうか、自信をもって「はい」と答えられる状況になっているでしょうか。
今回は、担当者・マネージャー両方の視点から「データ主導の営業活動」を実現可能な機能である「ダッシュボード」をご紹介します。
データ主導の意思決定とは
「データ主導の意思決定」という考え方は、「データ・ドリブン・マーケティング」とも言われ、主にマーケティング分野でよく使われる考え方や手法です。経験・勘・努力といった、従来からある意思決定の根拠に「データ」を加えましょう、という考えのもと、独自に収集したり購入したさまざまなデータを意思決定の根拠として活用しようというものです。
「データ主導の意思決定」自体はマーケティング分野で注目されている考え方ですが、決してマーケティングに特化した内容ではありません。
マーケティングオートメーション(MA)やCRMの分野においてはマーケティングと営業をシームレスにつないだ活動が重視され実践すべきとされているのが昨今の状況です。
また、施策設計や効果検証におけるデータ活用の場合でも、マーケティングだけではなくその後の商談、顧客化後のカスタマーサクセスに至るすべてのデータを対象にした「データ主導の意思決定」を実施すべきと言えるでしょう。
データ主導の意思決定は「データの可視化」「リアルタイム共有」がポイント
では、具体的にはどのように「データ主導の意思決定」を実践すればよいのでしょうか。とにかくデータを集めて並べればよいのでしょうか。ポイントはただ集めるだけでなく「可視化すること」と「リアルタイム共有」です。
多くの種類の大量のデータは、さまざまな仮説をもって深く掘り下げるためには欠かせません。しかし多くのデータがただそこにあるだけでは、そこから何を読み解きどんなアクションをすればよいのか、多くのマーケターや営業担当者には理解できないでしょう。必要な情報だけを、わかりやすい形で表現してもらえないと使いこなすことができません。
また単なる数値の羅列を脱して理解しやすい形での表現が可能になったとして、せっかくのデータが3年前のものだったり、最新の活動状況や成果が反映されていないなどタイムラグがあっては肝心な時に役に立ちませんし、最新のデータがあったとしても誰かの手元でしか利用できなかったら組織としての活動につなげることができません。
データ主導の意思決定を行うポイントは「可視化」と「リアルタイム共有」にあります。そしてこのポイントを実現するためのツールが「ダッシュボード」です。
HubSpot Sales ダッシュボードとは
今回はHubSpot の持つダッシュボードのうち「セールスダッシュボード」をご紹介します。セールスダッシュボードは、デフォルトではセールスプロセスの概要を示す、次の5 件のレポートを見ることができます。
- 取引の見通し
- クローズした取引対目標
- チームのアクティビティ
- 営業パフォーマンス
- 生産性

取引の見通し
ここには「取引パイプライン」に登録されている取引の「予測される収益額」が表示されます。各取引に登録されている取引金額に対して取引ステージの確率を掛けて算出されます。現時点での予材を正確に把握できるので、この先誰がどの取引に、より力を傾ければよいか、また新規の取引をどのくらい生み出す必要があるかといった検討に生かすことができます。
クローズした取引対目標
ここにはチームの売上目標と比較した場合の、「成立した取引の収益」が表示されます。このレポートでは営業チームの目標に対する進捗を常にトラッキングし、達成に向けた具体的アクションの検討や今後のセールス目標の設定に役立てることができます。
チームのアクティビティ
ここにはSales Hub ユーザーに対する、最新の20件のアクティビティが表示されます。アクティビティをクリックすると、関連付けられたレコードに移動して詳細を確認することができます。各スタッフの活動量やコミュニケーションの内容を確認することで、スタッフそれぞれに対するアドバイスやチームミーティングの材料に生かすことできます。
営業パフォーマンス
ここには「登録されたコンタクト」「割り当てられたコンタクト」「やり取りしたコンタクト」「作成された新規取引」「クローズした成立取引」の5つの指標が表示されます。営業活動の初期から成約までのステージを俯瞰(ふかん)してみることで、取引パイプライン全体の量とバランス、ボトルネックの有無、目標達成から逆算した各ステージの必要数などの確認・検討に役立てることができます。
生産性
ここには総コール数、CRMから送信されるなどした顧客との間でやり取りしたEメール、取引のメモ、タスク、コンタクトとチームメンバーの間のミーティングが表示されます。単に数をこなすだけではなく、取引を進展させるために必要なアクションが質・量ともに担保されているかを確認し、今後の具体的アクションの検討に役立てることができます。
ダッシュボードの効果的な使い方
ダッシュボードの利点は、普段から必要な情報をCRMに登録しておくだけで、ご説明したようなあらゆる切り口でのレポートを自動かつリアルタイムに生成してくれることです。
そのため、例えば報告レポート作成に毎週2時間も費やす必要はなくなりますし、また「がんばって活動しているつもり」「効果的に指導しているつもり」といった主観を排除した「データ=事実」に基づいた振り返りができるので、より具体的で成果を期待できるアクションに集中でき、生産性の高い営業活動を実現することができます。
レポート作成に時間を掛ける必要がなくなるので、これまで週に1回だったミーティングを毎日開催することができるかもしれませんし、営業担当者同士での意見交換、マネージャーと担当者での1on1の機会を増やすことで、営業チーム全体の成果が底上げできるかもしれません。
ダッシュボード利用の注意点
先に述べた利点には、ひとつ重要な前提があります。「営業担当社全員が、常日頃からメールや電話、対面ミーティングなどお客様とのコミュニケーションを通じて得た定性情報・定量情報をすべて抜けもれなくCRMに登録している」という点です。
この前提がないと状況の確認や意思決定をするための十分な質・量・鮮度の情報が得られず、せっかくの営業活動も効果的アクションや生産性向上に繋がりにくい、という状況におちいってしまうリスクがあります。
タイムリーで有用な意思決定をするための貴重なデータ。CRMへ登録は「作業」と捉えてしまうと面倒でやりたくないのものだと感じてしまうかもしれません。しかし大切なのは「自分一人」のためではなく「チーム全体での生産性向上」のためだということです。
全体最適は、誰か1人のパフォーマンスが落ちるとそこに引っ張られてしまいます。チーム全員でこの活動の意義を理解し、常に声を掛け合いながら活用することで、ダッシュボードはその真価を発揮することができます。
ダッシュボードを日常業務で「普段使い」する
HubSpot の各種ダッシュボードは特に設定をしなくても利用可能な状態で標準装備されているので、あえて注目する機会は少ないかもしれません。
ダッシュボード化を前提にして各担当者がCRMに日々の活動状況を入力するようにしておけば、成果の確認やこの先のアクションを検討するために必要な情報が自動的にダッシュボードに表示される状態を作ることができます。
常日頃から営業活動に関する最新情報を全て入力するようにしておけば、たとえば営業担当者はそれぞれが社内報告書を作るといった業務から開放され、そこから生み出した時間を、より効果の高い商談手法を検討する、先輩のアドバスを聞く、営業資料をブラッシュアップするといったより前向きな活動のために使うことが可能になります。
営業マネージャーは、常にチームの成果や生産性を把握した上で、より具体的かつ効果的なアドバイスや方向性の検討、社内外との調整、担当者との1on1などに時間を使うことができ、残業抑制など働き方改革と営業成績向上といったテーマに取り組むきっかけを作り出すことが可能になります。
ダッシュボード作成自体は目的ではありません。まずは標準装備されているダッシュボード機能を普段のミーティングで常に映し出すところから始め、足りない情報があれば入力を開始する、といったところからスタートしてはいかがでしょうか。
次回もどうぞお楽しみに!