インバウンドへのシフト - 人が、時代が、マーケティングが変わる
- 2013年05月13日 11:42
- インバウンドマーケティング
2013年4月3日〜4日にニューヨークで開催された Inbound Marketing Summit (IMS) NYC 2013 から、HubSpot社CMOのMike Volpe氏による「Inbound Marketing: A Love Story」を紹介します。
世界は変化している、マーケティングも変化する必要がある
この20年の間に私たちの生活は大きく変化してきました。下記の表は、私たちの働く環境や購買方法を比較したものです。
インターネットがなかった20年前は、壁に囲まれたオフィスで9時から5時まで働いていました。製品を購入する時は、トレードショーに行ったり、広告を比較したり、担当の営業から情報を得ていました。時には、担当者とゴルフに行ったりしたものです。それが2010年代になると、必要なものは全てクラウド上にあり、いつでもどこでもiPhoneさえあれば働くことができるようになりました。ソーシャルメディアやGoogleの検索を使って製品情報を集め、セールスと話をすることなくフリーのデモ版を使い始めるでしょう。
今まで使っていた手帳、メモ帳、ウォークマン、時計、カメラ、電話、ナビも、今ではiPhone一つで解決できます。本や辞書はスマホとタブレットになり、WordはEvernoteやGoogle Documentに、社内データ共有はDropboxに変わりました。顧客の関心を引くためのツールも、ダイレクトメール、テレビ、新聞、電話からブログ、Facebook、Twitter、Youtubeなどのオンラインサービスに置き換わりました。
これは何を意味しているのでしょうか。
- 消費者が主導権を持っている
- 従来のマーケティング手法は崩壊している
これら従来のマーケティング手法は、「インバウンド」に対し「アウトバウンド」と呼ばれます。一方的に押し付けられる情報に、消費者は嫌気がさしています。
- 86%はテレビCMをスキップする
- 91%はメルマガの購読を解除する
- 44%のダイレクトメールは開封されない
- 200万人が「勧誘電話お断りリスト」に登録している
インバンドマーケティングとはコンテンツ+コンテキスト
インバウンド vs アウトバウンド
あなたが顧客を見つけるのではない、彼らがあなたを見つけるのだ
トラディショナル(アウトバウンド)
- 営業電話
- 営業メール(スパム)
- 広告
- マーケッター中心
インバウンド
- SEO
- ブログ
- 引きつけること
- 顧客中心
インバウンドマーケティングでは、マーケッターが強制的に情報を提供するのではなく、消費者が自ら検索エンジンやソーシャルメディアを通じて情報にアクセスします。
コンテンツは資産である
ブログ、インタラクティブツール、写真、インフォグラフィック、動画、ポッドキャスト、プレゼンテーション、Eブックは資産(マーケティングアセット)と言えます。広告の効果を持続させるには、ずっとお金を支払い続けなければなりません。一方、マーケティングアセットは、一度作成したらずっと顧客を引きつけることができます。実に、ブログから獲得した全てのリードの70%が古い記事を閲覧したというデータがあります。また、コンテンツの量が多ければ多いほど効果は2倍にも3倍にもなるのです。
顧客に合わせてコンテンツをパーソナライズする
顧客のコンテキストに合わせてコンテンツを届けることが重要です。コンテキストとは「文脈」「背景」という意味です。行動や意思決定に影響を及ぼすユーザーの経験や育ってきた環境、天気や日時などの状況、前後の行動や心理状態などのことです。例えば、AmazonのWebサイトでは、購買履歴やページの閲覧履歴を分析して各ユーザーごとに異なるレコメンデーションを表示します。
自動車のオンラインマーケティングの例
自動車メーカーのWebマーケティングを例に考えてみましょう。現在所有している車より、もっとスペースが広いSUV(スポーツ多目的車)に興味を持ち、オンラインで見積をしました。その3日後に「マーケティング自動化ツール」からSUVではない別の車の案内がメールで送られてきたらどう思いますか?さらに5日後、Webサイトを再訪問した時に、あの見積をしたSUVのページが見つからなかったら…。AmazonのWebサイトのように、個人に最適された情報を提供することができたら、顧客が車を購入する確率はずっと高くなるでしょう。
インバンドマーケティングを実施する上で大事なことは、「必要としている時に、必要としている人に正しい情報を届ける」ということです。フォローアップのメールを自動でセッティングしても、届ける情報がチグハグだったり、ピッタリのタイミングでなければ、そのEメールはスパム扱いされてしまうでしょう。