インバウンドマーケティング2013年の振り返り

Inbound Marketing is not the answer.
by Dharmesh Shah

インバウンドマーケティングについて情報を収集していれば、「インバウンドマーケティングは解ではない」というブログ記事を読んだ人も多いでしょう。私が2013年から本格的にインバウンドマーケティングを始めてそろそろ1年。HubSpot 創業者のダーメッシュ・シャア氏のこの言葉の意味を実感できるようになってきました。

今日は1年の締めくくりに、インバウンドマーケティングを通して学んだことについて思うことを書きます。

インバウンドマーケティングからインバウンドエクスペリエンスへ

1月からDXブログを始めて、インバウンドマーケティングの手法を試行錯誤してきました。さあ、もっとインバウンドマーケティングの理解を深めよう!と意気揚々としてボストンに向かった2013年の8月。そこで出くわしたのが「インバウンドマーケティングは答えではない」という冒頭のダーメッシュの衝撃の言葉だったのです。

インバウンドマーケティングのライフサイクルステージ

8月に開催された「INBOUND 2013」では、「Inbound Experience」というコンセプトが発表されました。マーケティングのターゲットや関わる人は「営業マン」「マーケッター」「人事部の人」「顧客」「ユーザー」ではありません。その人たちは一人ひとり名前を持った「人間=ヒューマン(Human)」なのです。マーケティングから営業、カスタマーサービスまでお客様に関わる全てのスタッフが「インバウンドの思想」を持って「人」として「人」に接していこう、ということです。

会社の売上を伸ばしたいとき、マーケティングだけ頑張っても営業担当の態度が悪かったら契約してもらうことはできないでしょう。(Close)
顧客になってもらった後にカスタマーサービスのサポートが不親切であれば、顧客は離れていってしまうでしょう。(Delight)

理解しやすい内容で、当たり前のように感じました。

どんなに頑張っても、マーケティングではリードの獲得までで精一杯なこともあります。営業スタッフやサポートスタッフの力がなくては、「インバウンドマーケティング」が本当に効果があるかどうかを実感することは難しいと思うのです。

「Human」ー 人と接するということ

HubSpotは、「人」にフォーカスしたマーケティングツールですが、改めてカンファレンスのテーマとなった「Human」の意味を、会場で流れた映像を何度も見て考えました。インバウンドマーケティングの効果を実感し、自分たちでも驚くような結果が出てきたところだったので、より一層なぜインバウンドマーケティングが「答え」ではないのかと思いました。私たちの会社には、いわゆる「営業」や「カスタマーサポート」という部署がないためになかなか理解できなかったのかもしれません。

そんなことを毎日考えていると、今まで気に留めなかったことが気になり始めました。

まずは、展示会での出来事です。展示会に出展して得られる名刺(リード)の数や質とを比較して、インバウンドマーケティングは費用対効果が高いと言われています。出展企業は、どのようにリードを獲得しているのかを再確認したくて、展示会に行ってきました。そこで出会ったのは、私が製品を見ようとする前に強引に名刺を渡してくる女性。びっくりしました。行く手を阻まれたので仕方なく名刺を受け取ると「名刺を頂戴してもよろしいでしょうか」と言われました。何度も。嫌な気持ちになったばかりではなく、怖い思いもしました。逃げるようにその場を離れたのですが、その製品がどんなに素晴らしくても購入することは絶対にないだろうと思ったのです。

もう一つは、会社にかかってきた営業電話です。正確に言うと、こちらから問い合わせたので純粋な営業電話ではありません。私が取り次いだのですが、申し訳ないことにお名前を聞き取ることができなかったので聞き返しました。彼は、名前を答える前に(なんと!)小さくため息をついたのです。びっくりしました。思い返せば、最初から聞き取りづらい名乗り方でした。そしてまた、この会社と契約を結ぶことはないだろうと思ったのです。

どちらの会社も、たった一人の社員のために顧客を逃してしまっています。他の人がどんなに頑張っても、素晴らしい製品を開発していても、インバウンドマーケティングに時間を費やしても、たった一人の社員が全てを台無しにしてしまったのです。

インバウンドマーケティングへの新たな取組み

インバウンドマーケティング」を初めて読んだとき、おそらく多くの人が感じたように私も「インバウンドマーケティングは新しい手法ではない」という感想を持ちました。しかし、いざ始めてみると何を題材にブログを書こうか、どんなホワイトペーパー(企業のサービスや製品の事例紹介、ノウハウを記載した資料など)を作ろうか、Facebookのファンが増えない、PVが伸びない、リンクがクリックされない、などわからないことばかり。HubSpot社が提供する手法やチップスを少しずつ取り入れ、試行錯誤を繰り返すことで「何をしたらいいかわからない」という問題はクリアになり、自然と次に取り組むべき課題が浮き彫りになってきたのです。

インバウンドマーケティングは、決して短期間で完成するものではありません。毎日コツコツ続けることが成功への一番の近道です。最初は検索経由の訪問が少ないかもしれませんが、まだ記事が少ないことが原因です。焦らず、コツコツと記事を書き続けること。DXブログでも、あるとき、一つの記事のアクセスが急増したことをきっかけに検索経由での訪問が増えてきました。メルマガも始めてみました。問い合わせいただいた方に、「メルマガがわかりやすかった」と感想を伝えていただいて皆で喜びました。問い合わせの数も質も1年前とは比べ物になりません。

マーケティングには、売れない商品を売れるようにできる力があります。誤解してはならないのは、その製品は魅力がないから売れないのではなく、魅力を伝えきれていないので売れないということです。自分たちが心から良いと思っていないものを、良いと偽って売っても誰もハッピーになれません。「人」と真正面から向き合っていくには、嘘偽りのない正直な気持ちで臨まないと、すぐに見抜かれてしまうでしょう。

これからは、営業もプロジェクトマネージャーもエンジニアもデザイナーも全員、会社全体で「インバウンドマーケティング」に取り組んでいきたいと思っています。顧客に心から喜んでもらえる最高の「インバウンドエクスペリエンス」を作り上げ、働いている自分たちもハッピーになること。2014年も進化するインバウンドマーケティングへの挑戦を続けます。


インバウンドマーケティング入門