インバウンドマーケティングでおさえておきたいKPI指標一覧!
- 2016年08月04日 12:15
- インバウンドマーケティング
これまで、インバウンドマーケティングに関する数々の情報をブログでお伝えしてきました。例えば、ブログ記事、CTAボタン、ランディングページ、リードジェネレーション、リードナーチャリング、インバウンドマーケティングキャンペーンなどです。
今回は、インバウンドマーケティングを行う上で大事なKPIの指標についてお話ししたいと思います。
今回、「KPI」をテーマとしてお伝えしようと思った理由としては、
KPI(Key Peformance Indicator)はビジネスの成功度合いを知るために大事な指標
だからです。インバウンドマーケティングでは、以下で説明する指標をKPIとして設定して、ビジネスの最終ゴールの達成を目指します。
KPI(Key Peformance Indicator)とはKGIを達成するまでのプロセスごとに設ける指標
KPIを設定することは、インバウンドマーケティングキャンペーンの最終ゴールの達成度合いを評価するためだけではなく、ゴールを達成するまでのプロセスでどこが良かったのか悪かったのかなど、細分化して評価することに役立ちます。
KPI指標の設定はビジネスや職種によって異なりますが、自社のビジネスへの達成度合いを知るために適したKPI設定が欠かせません。今日は代表的でかつ必ず押さえておくべきKPI指標をご紹介したいと思います。
営業売上
営業売上をKPIとして設定することは、インバウンドマーケティングを評価するにあたって一番重要な指標であるかもしれません。まずは、社内のマーケティングチームがどれだけ営業売上に貢献できたかを知る必要があります。もし、目標としている営業売上を生み出すことができていなければ、マーケティング活動を見直し、戦略を立て直しましょう。
マーケティングチームがどれだけ営業売上に貢献できたかを知るには、マーケティングチームによって獲得されたリードが営業チームによってクロージング(受注)されたかどうかを知ることが一番です。
受注確率を高めるには、自社の製品やサービスに高い興味を示しているリードかつ自社のペルソナに合致するリードを獲得し、営業に渡してあげるということは言うまでもありません。受注につながる確度の高いリード、つまり営業が欲しがっているリードをマーケティング活動から創出するには、日々のマーケティングと営業の情報共有が欠かせません。
マーケティングと営業の部署間の情報共有やレポーティングを「クローズド・ループ・レポーティング」と呼びます。営業とマーケティングが見込み顧客について話し合う場を設けることで、受注につながりやすいコンタクトの情報をお互いのチームで共有しましょう。また、CRM(顧客管理システム)を使うことで、営業とマーケティング間の情報共有がしやすくなります。
インバウンドマーケティング ROI
ROIとは、Return on Investmentの略で、投資した額に対して得られた利益のことを指します。もっと聞き慣れた言葉の「費用対効果」であれば理解しやすいでしょう。ROIを指標とすることで、自社のインバウンドマーケティング活動への投資に対する効果が明らかになり、当月、年間のパフォーマンスを評価することができます。将来のマーケティング施策においていつ、どの施策に予算をかければ良いかがわかるようになります。
ROIの求め方:
(売上 – 全てのコスト)
マーケティングコスト
自社のROIを計算するにはこちらから試してみてください
→ HubSpot ROI 算出ツール
顧客獲得コスト(CAC)
顧客獲得コストの英語表記はCustomer Acquisition Cost(CAC)となります。顧客獲得コスト(CAC)とは1ユーザーを獲得するためにかかる費用のことのことです。顧客獲得コスト(CAC)には、営業活動の初期フェーズ(潜在顧客に製品・サービスの紹介)から、受注までのプロセス全体にかかる費用全部を含みます。
一般的に企業の営業やマーケティングの投資となるところは、マーケティングツールやCRMなどのツール代金、広告費、人件費、コンテンツ制作費、Webサイト維持費、イベント、スポンサー、顧客への差し入れ、などであり、顧客獲得コストを算出する際は、投資にかけた費用すべてを含みます。
CACの計算方法:
営業コスト + マーケティングコスト
新規契約数
顧客生涯価値(LTV)
顧客生涯価値の英語表記はLife Time Value(LTV)となります。顧客生涯価値(LTV)とは1顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益(価値)のことです。顧客生涯価値(LTV)の指標の目的としては、顧客一人ひとりが取引期間中にどれほどの価値(利益)をもたらすかを測るためのもので、一顧客の累計的な取引高を知り、購買を促すことでビジネスの最大化を図ります。
顧客生涯価値(LTV)を知っておくと、営業やマーケティング、製品開発、カスタマーサポートなど企業のすべての部門において予算分配など、最適な意思決定をするために役立ちます。
顧客生涯価値(LTV)を出すには、1. 1顧客当たりの顧客平均単価 2.収益率 3.1顧客あたりの購買回数・購買期間 をあらかじめ把握しておきます。
LTVの計算方法:
(平均購買単価)×(収益率)×(1人あたりの顧客の平均購入回数)
SaaSソフトウェア企業のLTV計算方法:
(アカウントごとの平均購買単価)×(収益率)
MRRチャーンレート
LTVを高めるマーケティング戦略のポイントについて
→LTVを高めるマーケティング戦略
Webサイト運営に関連するKPI指標
Webサイトへどのくらいのトラフィックがあるかは誰もが気にするべき指標でしょう。その際に考えなければならないのは、訪問客は、将来的に顧客になりうる可能性のある潜在顧客ということです。
訪問客数(セッション数)以外にも訪問客がどこからの経由で自社サイトへ訪れたのかを知ることも大事です。例えば、他サイトからのリファラル流入、自然検索流入、ソーシャルメディアなど流入元はいくつも考えらます。流入元を知ることで、彼らがどのようなキーワードで検索したか、どのソーシャルメディアからの流入が多いのか、どんなコンテンツが必要とされているかなどがわかり、訪問客の興味ある製品やニーズの追究に役立ちます。
Webサイト運営に関するKPI指標例:
- 自然検索トラフィック数
- セッション数
- リピーター数
- ページビュー数
- ページごとのセッション数
- 平均セッション時間
- 直帰率
例えば、ブログ記事のKPIであれば、記事のビュー数に加え、訪問客からブログ購読者への転換率をKPIとすることもできます。
リードの種類別のKPI指標
一般的に企業のマーケティング担当者もしくはチームには、Webサイトやブログを通して獲得したリードの数がKPIとして設定されます。
ここでの注意点としては、獲得したリードはみんな製品サービスへの見込みレベルが同じであるわけではないということです。さらには、全く別の理由(製品の興味がない)でリード化することもあります。これらを区別し、管理するためにも、興味レベルごとにリードを分ける必要があります。(ライフサイクルステージと呼ばれる)
自社の製品・サービスの購買見込みレベルを区別すれば、リードステータスを分けて管理できるので、どのリードが最も見込みが高いかが明確になり、アプローチしやすくなります。興味レベル別に分けたリードは大きく3つ存在します。
- Marketing Qualified Lead MQL(マーケティング対象リード):自社の製品やサービスに興味を示し、マーケターがナーチャリングを開始する。
- Sales Accepted Lead SAL (セールス承認リード):マーケテイング部門が発堀した見込みリードに対して、営業がフォローすると受け入れた、または確実に引き継いだリードのこと。(「マーケティングのKPI」の本からの定義 )
- Sales Qualified Lead SQL(セールス対象リード):購入時期や予算などの条件を満たし、営業が接触を持つ準備ができたひと。
リードの種類別のKPI指標例:
- リードの数
- MQLの数
- SA Lの数
- SQLの数
興味レベルごとにリードを分けることで、1つのファネルが出来上がります(下図参照)ファネルを理解した上で、マーケティングファネルのコンバージョンで穴がないかを探すことにも役立ちます。ファネルとコンバージョン率を知ることで、最終的に新規顧客を獲得するために、それぞれの見込みレベルの異なるリードがいくら必要かということが見えてきます。
転換率のKPIの指標例:
- ビジター(訪問客)からリードへの転換率
- リードからMQLの転換率
- MQLからSQLへの転換率
- SQLから商談への転換率
- 商談から成約の転換率
- リードから成約の成約率
ランディングページのKPI指標:コンバージョン率
ランディングページの主な目的は訪問客をリードへ転換すること、つまりリードを獲得することです。したがってマーケティング戦略においてランディングページは欠かせません。
ランディングページに関してKPI指標となるのは、ランディングページに訪れた訪問客がフォームを送信することで成り立つ「コンバージョン」です。自社の目安となるコンバージョン率を知っておけば、ランディングページの最適化のため、A/Bテストを実行する際に役立ちます。ランディングページのコピー文や、フォームの長さ、ソーシャルメディアでのシェア数の表示などA/Bテストを行い、最適化し、コンバージョン率の向上に努めます。
ランディングページのコンバージョン率の計測や、ランディングページごとの比較をすることでどちらのダウンロードオファーにニーズがあるか、訪問客の興味のあるトピックが何かを知ることができます。
以下は、インバウンドマーケティングソフトウェアとして知られるHubSpotのランディングページのパフォーマンスページです。コンバージョン率が一目でわかるようなインターフェースとなっています。(A/Bテスト機能は、HubSpotのフル機能が使えるエンタープライズ版のみの機能)

HubSpot ランディングページパーフォマンス比較
EメールパフォーマンスによるKPI指標
Eメールを使えばリード一人ひとりとコミュニケーションがとれるため、 Eメールはリードナーリャリングに欠かせない機能です。Eメールを使ったキャンペーンを立てたら、Eメールのパフォーマンスをもとに分析を行うようにしましょう。過去に配信したEメールと比較できるものがあれば、比較しながら分析を進めましょう。また、ランディングページと同じで、Eメールのコンバージョン最適化を行うことも重要です。Eメールのデザイン、写真、コピー文、CTAボタン、件名などをA/Bテストしてみましょう。
Eメールに関するKPI指標例:
- 開封率
- クリック率
- 配信解除率
- コンバージョン率

HubSpot Eメール機能のパーフォマンスダッシュボード
ソーシャルメディアに関するKPI指標
ソーシャルメディアは、マーケティング戦略で重要な役割を担います。特にインバウンドマーケティング方法論(詳しくはこちら:インバウンドマーケティングメソドロジー)でいうと、サイトへのトラフィックを集めるところの段階(Attract: 興味を喚起)と既存顧客を喜ばせる段階(Delight: 喜ばせる)で活躍します。
ソーシャルメディアの良いところは、コンテンツを様々なチャネルで拡散することで、Webサイトやブログへのトラフィックを見込めることです。また、ソーシャルメディア上でのコミュニケーションをとれることや、見込み客のソーシャルメディア上の発言をモニタリングすることで、ターゲットとする見込み客の課題や、悩み、彼らの欲しがっている情報を知ることができることです。それらをヒントとして、コンテンツ制作に役立てることで、最終的に見込み客を惹きつけることにつながります。
しかし、すべてのソーシャルメディアがあなたのビジネスに適しているとは言えません。ターゲットとするペルソナに合わせて、どのソーシャルメディアを使えばいいかを選びましょう。
ソーシャルメディアに関するKPI指標例:
- ソーシャルメディア毎のトラフィック数
- リードへの転換に貢献したソーシャルメディアチャネル
- 顧客化に貢献したソーシャルメディア
- ソーシャルメディアのフォロワー数の増加率
- Facebookへの「いいね」の数の増加(Twitter、LinkedIn)
- チャネル毎のエンゲージメントの高さ(リツート数 / いいね / シェア / コメント)
おすすめの記事:Facebook、Twitter、InstagramのKGIとKPIの考え方
モバイルからのトラフィックに関するKPI指標
近年、Googleのアルゴリズムの改定により、モバイルに対応したWebサイトはより検索順位に良い影響を与えるとGoogleより発表がありました。さらに、スマートフォンやタブレットの利用者の増加に伴い、モバイル最適化は必須となりました。モバイルからの流入があったトラフィックがどれだけリードへ転換しているかの数字を見ると、どれだけモバイル最適化されたWebサイトが効果を出しているかがわかります。
モバイルに関するKPI指標例:
- モバイルからのトラフィック数
- モバイルからの流入によるリード獲得数
- モバイルに最適化されたランディングページのコンバージョン率
- モバイルごとのトラフィック数(タブレット or スマートフォン)
- モバイルからのバウンス率
いかがでしたでしょうか。インバウンドマーケティングはリード獲得から顧客化まで一連の長期プロセスを扱うので、担当者やもしくはチームごとに様々なKPIが設定されます。KPIの達成は最終的にビジネスゴールを達成するために段階を評価しやすくするためのものですので、適切なKPIを設定しましょう。