インバウンドセールス

インバウンドへのシフト – 人が、時代が、マーケティングが変わる」で紹介したように、消費者の行動様式は変化しました。不必要なEメールを迷惑メールとして振り分け、コミュニケーションを妨害するフォームは入力せずにスキップします。テレビ番組は録画してCMを飛ばし、オンラインラジオを使うことでマーケティングメッセージをすり抜けるようになりました。Frank Belzerの著書「Sales Shift」では、インバウンドマーケティングがインターネットにもたらした変化が、営業活動にも影響していると述べています。マーケッターと同様に営業担当者もこの変化に適応しなければならない時代になりました。

20年前は製品について情報を得たいときは、営業担当者から説明をしてもらわなければなりませんでした。今は、ユーザーはWebサイトから何でも手に入れることができます。製品のスペックを調べ、オンラインのデモンストレーションを見て、ホワイトペーパーやケーススタディをダウンロードすることができます。競合他社との比較も簡単にできます。購買プロセスの最終段階で営業担当者と接するときには、製品やサービスについて十分教育されている状態になっているのです。

今回は、消費者の行動の変化と営業担当者に求められるスキルについて考えてみましょう。

マーケティングの変化を受け入れ、営業スタイルを見直そう

インバウンドマーケティングを実施した結果、リードは増加したけれども、その後の契約成立に結びついていないケースがあります。インバウンドマーケティングは、購買プロセスのすべてをカバーすることができません。言い換えれば、営業活動をすべてインバウンドマーケティングに置き換えることはできないのです。営業担当者は、今起こっている変化に気づいているでしょうか。

営業担当者が気づいていないこと

  1. もっと効率良く仕事ができるツールがあること
  2. 見込客や顧客が、購買プロセスのずっと後になってから電話してくること
  3. プレゼンテーション、提案、クロージングがもはや機能しないこと
  4. 2と3に関連性があること
  5. 以前と比べてよりたくさんのリードがいること
  6. 以前より見込客にリーチすることが難しくなっていること
  7. 5と6に関連性があること
  8. より多くの見込客が価格重視で購入したいこと
  9. より多くの見込客が購入した価値を受け入れること
  10. ほとんどの営業担当者がコンサル的に売ることができないこと

次に、購買プロセスでの消費者の行動がどのように変化しているのかをみてみましょう。

ここが変わった!消費者の購買プロセス

1.営業担当者に接するときには知識が豊富

見込客が営業担当者に接するのは、購買プロセスの後半になってからです。営業担当者と初めて話をするときに購買プロセスの最初に戻るようなことがあれば、強いフラストレーションを感じてしまうでしょう。彼らは、求めているものに関して極めて明確な考えがあり、セールスファネルに入ってきます。既に知っていることについて説明を必要としていません。

2.電話や直接の会話に抵抗がある

営業メールや営業電話を快く思っていない見込客は、かつてよりも電話で話したり、直接会話したりすることに抵抗があります。特にまだ購買プロセスの前半にいる場合は、ディスカッションに無駄な時間を費やしたくなく、ただ質問に答えてほしいと思っています。そのため、Eメールなどのテキストを使っての会話を好みます。

3.競合他社にも連絡をとっている

コンテンツをダウンロードした人が全員見込客であると考えてはいけません。フォームにたくさん入力したからといって、他の人よりも良いリードというわけでもありません。あちこちから情報を収集している見込客は、競合他社とも連絡をとっていると考えたほうがよいでしょう。

4.購買プロセスを完全に支配

様々な情報にアクセスできるようになった結果、見込客は自分たちが完全に購買プロセスを支配していると思っています。間違いのない決断を自分たちだけでできると信じているので、助けを求めることに抵抗があるかもしれません。とにかく、自分の力だけで完結したいと思っている人もいます。営業担当者が場を仕切り、見込客を管理したら、見込客は主導権を失ったように感じネガティブな気持ちになってしまうでしょう。

営業担当者は、顧客や見込客に「支配されている」と感じさせずに購買プロセスをコントロールする必要があります。例えば、見込客が必要とも欲しいとも思っていないたくさんの資料を持って、急いで会いに行ったりしてはいけません。Eメールで何度かやりとりを交わしたら、親密なディスカッションに導くタイミングです。「これについては、少し話をするのはどうですか」「たくさん質問があるようですから、数分お話しませんか」とリアルなコミュニケーションに発展させることがポイントです。

営業担当者に求められる4つのポイント

1.コンサルテーションスキル

見込客がリサーチ中に見つけることができなかった情報など、良質でときに難しい質問に答えられる必要があります。既に見込客はたくさんの情報を得ているので、欠けている要素を提供し、価値を追加するように心がけましょう。また、彼らは情報がありすぎて困惑しているかもしれません。意思決定を手助けしましょう。

2.アドバイザーとしての関係性

最終的に、見込客はリアルな人間同士の関係を求めています。それは、今でも教師、医師、フィジカルトレーナーが必要とされていることと同じです。見込客や顧客に関心を持ち、心から支援したいという気持ちを表しましょう。そのために、彼らの話をじっくりと聞くことが重要です。共感の心が伝われば、見込客は心配に思っていることを話してくれ、また質問もしてくれるはずです。

3.自然なスタイル

見込客は、自然で普通な雰囲気を求めています。陳腐な言い回しは決して求めていません。古臭いフレーズや大げさな言い回しは使わないようにしましょう。義務的にリードをフォローアップするのではなく、見込客を一人の個人として扱うことは大切なのではなく必須事項です。お決まりのフレーズではなく、一人ひとりに合わせた言葉遣いや提案が求められています。

4.信頼と実直さ

信頼感と正直さは、オンラインのインタラクションから得ることはできません。今まで以上に、信頼ができるコミュニケーションが求められています。購入者のプロセスを尊重し、誠実さを表しましょう。また、自分がしていることや売っているものに情熱を持つことが重要です。製品やサービスを信じ、楽しそうに製品やサービスを紹介しましょう。

インバウンドマーケティングを理解する

インバウンドマーケティングを通して、リードはより確度の高い見込客として育てられます。Webサイトのどのページを閲覧し、何をダウンロードしてリードになったのかを知っておく必要があります。全てのデモやトライアルは、それぞれの見込客のニーズに合わせてカスタマイズしましょう。

成約につながらなかった時は、タイミングが良くなかったからかもしれません。いったん、マーケティングファネルに戻して様子を見てみましょう。彼らがペースを落としたいのは、何かを避けているのではなく、もっと深堀りしたい、もっと理解したいのかもしれません。

インバウンドマーケティングを理解すれば、営業にも変化が必要であると気づくはずです。マーケティングと営業が一つになって取り組めば、今まで以上の成果が期待できるでしょう。

※参考書籍「Sales Shift」

Sales Shift: How inbound marketing has turned sales upside down making it more difficult and more lucrative at the same time (English Edition)

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