beng_interview新商品開発本部マーケティング企画本部マーケティング部部長 山下武志氏(左)とマーケティング部 柏木ひろみ氏(中央)、マーケティング部 服部剛士氏(中央)

MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入が増えていますが、すでに導入している企業はどのように活用しているのでしょうか。 このシリーズでは、すでにMAツールを活用している企業のご担当者に導入の理由や運用方法、成果などについてお話をうかがっています。

今回は、SAP社やOracle社といった海外の製品や、自社開発の製造業向けパッケージの販売をおこなっており、企業向けの基幹系システムメーカーとしてもシステムインテグレーターとしても確固たる地位を築いているビジネスエンジニアリング株式会社でMAツールとCRMの活用方法についてお聞きする機会を得ました。

MAツール導入時のエピソードから現在の活用方法、そして連携させている便利なツールの話までお聞きすることができましたので、早速お届けしたいと思います。

日本の製造業を基幹系システムから支える「B-EN-G」

──まずは、ビジネスエンジニアリング様の企業概要について教えてください。

山下氏::われわれビジネスエンジニアリングは、企業様向け、特に製造業様向けのERPを中心とした基幹系システムの構築がメインの事業となっています。ドイツのSAP社のパッケージを日本に持って来たところから事業が始まりまして、その後はSAP社の製品だけでなく、自社製品である「mcframe」という生産管理・販売管理・原価管理・経営管理を実現する製造業向けグローバルパッケージを開発しデジタライゼーションに取り組まれている企業様の支援をおこなっています。

──現在は自社製品である「mcframe」を中心にマーケティング活動をおこなっているのでしょうか?

山下氏:いえ、われわれが所属するマーケティング部は従来は自社製品のみのマーケティングをおこなっておりましたが、現在は全社レベルに範囲を広げ、あらゆるマーケティング活動を担当しています。

CRMとMAツールの導入と活用について

──ここからは具体的にMAツールやCRMに関してお聞きしたいと思いますが、CRMやMAツールを導入したきっかけを教えてください。

山下氏:もともとCRMとしてSalesforceを使っていたのですが、顧客との商談管理だけでなくリードのデータの管理をしようと、一度リードデータベース的な仕組みを構築しました。セミナーやイベントで貰った名刺やアンケートをデータ化して、そのデータベースを使ってメルマガを配信したいという発想を実装して、実際に配信もおこなっていました。その後、今度は溜まっていくデータの活用が課題として出てきました。

その頃からリード獲得の中でWebサイト経由の占める割合が増えてきたこともあり、これが重要だと感じていたのですが、一方で、自分たちが言いたいことを並べたものとなっていたWebサイトを見て、「これは違うのではないか」という思いが出てきたことが、Hubspotを導入した一番のきっかけと言えます。

being_interview02新商品開発本部マーケティング企画本部マーケティング部部長 山下武志氏

MAツールを選定する際に重視したポイントについて

──MAツールを導入する際にHubspotを選択された理由を教えてください。

山下氏:いろいろなMAツールの話を聞いて検討しましたが、導入に際して特に3つのポイントを重視しました。まずは、デジタルマーケティングの展開を一緒に考えてくれるパートナーという点。次に少人数の担当者でシンプルに運用できる扱いやすいツールを分散させたくないというもの。そして最後にセミナーからWebサイトに展開するまでのキャンペーンを横串でしっかりと管理したい、というものがありました。この3つを実現してくれるのがHubspotだと考え、導入することにしました。

──その中で、特にお聞きしたいのが「少人数でシンプルに、複雑かつ分散しないようにしたい」というポイントですが、実際にHubspotを使ってみていかがでしょうか?

山下氏:Hubspotを導入したことで、例えば、現在はWebマガジンを作って配信するという作業が部署内の誰でもできるようになっています。また、Hubspotのデータを参照するといった行動や、Hubspotの仕組みへの理解も、全員ができるようになっています。つまり、Hubspotで「できること」と「できないこと」は部署の全員が理解している状態です。これがツールがバラバラですと、そのツールの数だけ部署内でナレッジを持っていないといけません。それが「Hubspot」という共通言語で統一されたのは非常に大きかったと思います。

──御社では既にSalesforceを導入されていらっしゃいましたので、そうなると自然にMAツールはPardot。となることも多いと思うのですが、そうせずにHubspotを選ばれたのは、大きな決断だったのではないでしょうか。

山下氏:Hubspot導入への一番への決定要因となったのはCMSがあることでした。当時はわれわれのWebサイト自体の問題点や小回りが効かないという課題を感じていました。小回りが効かないからWebサイトを通じてのマーケティングができない、という思考回路になっていたのです。リードのデータベースがある中で、Webサイト上で訴えたい何かしらのコンテンツを公開して、そこに対してデータベースを使って集客するという流れを作るには、別々のツールで組み立てるよりも、Hubspotというひとつのツールで管理できるほうがやりやすいと考えました。このポイントはかなり重要視しましたね。

──そういった環境が整備されている中で、現在のマーケティング部を支える柏木さんや服部さんにもお話をお伺いしたいと思います。お二人はこれまでもデジタルマーケティング領域での業務に従事されてきたのでしょうか?

服部氏:現在はデジタルマーケティング寄りの業務をおこなっていますが、それまではまったくマーケティングやWeb制作に触れたこともありませんでした。Hubspotで初めてCMSに触ったくらいで、現在もWebの仕組みについて学んでいる最中です。

柏木氏:私はもともとターゲティングメールの配信といった業務に携わっていましたので、メール配信やデータベースの構造への理解といった部分に関しては分かっていました。

being_interview04新商品開発本部 マーケティング企画本部 マーケティング部 柏木ひろみ氏

山下氏:MAツールを活用する上で、データベースを理解してデータを扱えるという人はキーパーソンだと思います。その点、柏木がそのあたりの知識を持っていたのは非常に大きかったですね。

MAツールを導入し、リードタイムの圧倒的な短縮に成功する

──実際にHubspotを導入されて、どのあたりが特に改善されたと実感されましたか?

服部氏:大きく変わったのはスピード感ですね。コンテンツを作るのに、従来はコードを書いてもらっている外部の業者さんに依頼してかなり時間がかかっていたのですが、Hubspotを使えば自分たちの意図したものがすぐに本番環境に反映できるようになりました。非常に効率良くなり、どんどんWebサイトを活用していくことにつながっています。

山下氏:メールを作るのもコンテンツを作るのも、そもそものリードタイムが圧倒的に短縮されました。現在は、LPをどう活用してリードジェネレーションをおこなっていくか、という方向に軸足を移すことができているのも、Hubspotを導入したからだと思います。

服部氏:従来と異なり、現在は私が手を動かせば施策を打てる体制になりましたので、仮説の当たりどころを探る意味でも、多少荒くてもページを公開して、仮説と検証をどんどん試していけるようになったのが大きな変化だと思います。

being_interview03新商品開発本部 マーケティング企画本部 マーケティング部 服部剛士

──MAツールの活用となると必ず話題になるのがスコアリングですが、御社では獲得してきたリードの確度について、どのような方法で確認されていますか?

山下氏:基本的には、最後の最後で正確な確度を付けるのはインサイドセールスチームの役割になります。直接コミュニケーションを取って正確な情報を取り、その情報を必要な部署へシェアする体制を取っています。一方で、インサイドセールスをかける根拠となるデータの確度も重要になってくると考えています。当社では一定の確度のあるリードのみにインサイドセールスをかけるようにしていますが、施策の目的設定によってもアプローチは異なってきます。

例えば、セミナーでも来場者全員にインサイドセールスを仕掛けるセミナーもあれば、一切しないものもあります。そういった中で、インサイドセールスが1件1件コミュニケーションを取って正確な情報に変換した上で、その中から本当に確度の高いリードを営業に渡すという作業をおこなっています。

──現在のマーケティング部の体制や規模を教えてください。

山下氏:マーケティング部としては7名体制です。そのうち1名は営業兼務として、フォローまで一気通貫でできる組織としています。インサイドセールスはチームとしては5名体制ですが、専任は2名です。1名が純粋なインサイドセールスで、もう1名はセールスサイドのSalesforce側のデータを管理する担当、そして他の3名は、インサイドセールスが発掘してきたリードを直接フォローにいく役割を担っていますが、現在はインサイドセールスのリソース不足にボトルネックを感じています。

──そのボトルネックを解消するために、どのような方法をお考えでしょうか?

山下氏:人を増やせば解決するのかというと、一概にそういうわけでもないと考えています。あちこちから集めた数多くのデータの中から金の一粒を探していく作業がマーケティングとセールスのプロセスだとすると、その中で分断が起こることは他社でもあると思います。

われわれとしては、そこを吸収するためにインサイドセールスがいて、営業の手元には、彼らが足を運ぶに値するリストを送るというプロセスをしっかりと設計するところが課題だと認識しています。そこを決めきれていれば、次に社内のリソースをどこに投下すべきなのかが決まり、ボトルネックは解消すると考えています。

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失敗を許容することで、何事も「まずはやってみる」文化を作る

──御社はSalesforceがコアになっていて、MAツールのHubspotからリード情報が流れていって顧客となって管理していくという体制だと思いますが、このコアに向かう幹の枝葉になるようなサービスやツールも最近は多く存在します。御社で何か活用されているツールはありますか?

服部氏:ツールと言えるかどうか分かりませんが、Zapierは活用しています。Zapierがわれわれの業務の柔軟性を高めてくれていると思っています。後は、最近はLucky Orangeもテストしています。ページ上でどのようにカーソルを動かしているのかわかりますので、結構面白いですね。

山下氏:他では、MAツールを導入したからといって決してオンライン至上主義になっているわけではなくオフラインも引き続き重要視していますので、そういった意味でいきますと、イベントマネジメントとしての役割を担ってくれているのがEventRegistでHubspotと連携させて活用しています。最近では、アンケートもすべてオンライン化しようとしていまして、SurveyMonkeyを使ってお客様の声を集めるようにしています。EventRegistからセミナー登録があったものがHubspotに入り、セミナーが終わったあと、御礼メールという形でSurveyMonkeyのアンケートのURLを付けて送信するという流れを構築しています。

──最後の質問ですが、現在のマーケティング部のスタッフは元々マーケティングを主戦場としてこられた方だけではないとお聞きしています。そういった中で、社内でマーケティングの考え方を浸透させていくのは、どのような方法を採られているのでしょうか?

山下氏:重視しているのは、「失敗してもいいからまずはやってみる」というところですね(笑)。やってみてどうなるかなんて誰にも分かりませんので、失敗を許容しながら実践的な経験値を得ていくというのが大きなポイントではないでしょうか。また、御社のように外部のパートナー様にも恵まれてさまざまな成功体験も積ませていただいておりますので、失敗と成功の両方の経験を持っているは強みだと考えています。これからも失敗を恐れず、いろいろと仕掛けていきたいですね。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。

ビジネスエンジニアリング株式会社
製造業を中心に運輸・通信・金融・各種サービス業等幅広い業種にわたり、コンサルティングから、システム構築、運用・保守まで一貫したサービスをご提供し、お客様のビジネス革新を支援しています。

聞き手:株式会社24-7 COO 草皆 直人(くさかい なおと)
執筆:佐藤 昭平(さとう しょうへい)