マーケティング自動化

Marketing Land に掲載された「The Missing Piece Of Marketing Automation That Could Change Everything」を紹介します。著者のPaul Roetzer 氏は、HubSpot のパートナーである PR 20/20 のCEOです。(本記事は著者から翻訳の許可をいただいています)

コラムニストのポール・ロエッツァーが、人工知能がマーケティング自動化プラットフォームを増強し、業界に変革をもたらす可能性を探ります。

マーケティングの科学と技術は、このままいけば衝突する運命にある。コピーライティング、データ分析、戦略立案といった、一般にマーケティング担当者が行うタスクの多くは、近い将来コンピュータ処理にかわる危機に瀕している。これは一部領域では失業を意味する可能性が高いが、マーケティング担当者やブランドにとっては技術革新を推進し、成功を加速する機会に満ちた世界を切り開く。

すべての職業には、科学的部分と技術的部分がある。じきに、ワトソンは科学的部分では人間よりも優れた知識を持つようになる。人間は、自分の職業の技術的部分に焦点を当てる必要があるだろう―創造的な要素は、人間だけが提供できるのだ
―ビュルスリサーチ創設者兼最高経営責任者(CEO)ダニエル・バラス

インターネットに接続する消費者やデバイスの数が拡大するにつれて、生成されるデータの量は指数関数的に増加する。一方、ノイズを取り除き、データを実用的な情報へと変容させるマーケティング担当者の能力は、偏見、信念、教育、経験、知識、知力によって制限されたままである。

マーケティング自動化の進歩―マーケティング技術系企業に注入した数十億ドル―にもかかわらず、マーケティング担当者がマーケティングキャンペーンの計画・実行・評価のために現在頼っている技術の多くは、ごく初歩的なものである。

マーケティング自動化プラットフォームは、時間を節約し、効率を改善し、生産性を向上させる。しかし、人が情報を消費し、購入の意思決定を行いながら画面から画面へと移動する際に毎日作成されている2.5京バイトのデータについて、深い洞察を与えているわけではない。さらに、これらのプラットフォームはほとんど、成功の確率に基づいてパフォーマンスを改善するための行動を勧告するということはしてくれない。

しかし、すべてを変える力を持つ、比較的開発の進んでいない技術がある。人工知能である。

マーケティングにおける人工知能

人工知能は未来的なコンセプトのように思えるかもしれないが、その使用は、NetflixAmazonUPSFacebookGoogleSalesforceMicrosoft 等、私たちが日常で関わる企業の間で広まっている。

マーケティング業界における人工知能の適用範囲は、おそらく多くの人が考えているよりも広まっている。Salesforce のCEO、マーク・ベニオフによると、「当社は、AIの泉だ」という。2015年1月のインタビューで、ベニオフはフォーチュン誌のアダム・ラッシンスキーに次のように語った。

当社にとって、すべての会社にとってもそうだと私は思うが、私たちが顧客と対話するにはコンピュータの助けを借りることになるので、データ科学における革命は根本的にビジネスのやり方を変化させることになるだろう。

ベニオフは続ける:

私たちは、データを整理し、表示するのに新世代のツールを必要としている。私たちは、データ管理し、これを利用して先導する方法を理解している新世代の企業幹部を必要としている。そして、私たちはまた、そのデータを中心にビジネスを整理し、構造化する手助けをすることができる新世代の従業員を必要としているのだ。

人工知能を通じてマーケティング・イノベーションを推進している企業の例を10社―合計で400百万ドル近くを調達している―見てみることにしよう。

1. 6Sense

6Senseは、同社ウェブサイトによると、「マーケティングと販売のためのB2B予測インテリジェンス・エンジンである。数十億におよぶ、時間に敏感に影響される意思のやり取りがされるプライベートネットワークを駆使することにより、6senseは購買経路の各段階における見込み客を発見し、市場に購入する見込み客が既にいるかどうか見極める。 6senseは、どの製品の見込み客が購入するか、いつ、どのくらい購入するかを予測する。」 (資金3200万ドル

2. Automated Insights

最近8000万ドルで買収されたとの報告があるAutomated Insightsは、同社ウェブサイトによると、「人工知能を使用して、生のデータを実用的なストーリーとインサイトに変換している。 自然言語生成を使用して、Automated Insights社のWordsmithプラットフォームは、人間の書き手のような口調、個性、変化のあるコンテンツを作成する。」(2015年2月の買収前で1080万ドルの資金

3.Bottlenose

Bottlenoseは、リアルタイムでビジネスを左右するトレンドを特定・予測・扇動する能力を企業が持てるよう、データ取り込み、トピック発見、自然処理言語分類、トレンド分析、ライブ視覚化、それに感情分析を組み合わせている。 (資金2000万ドル

4.Expect Labs

Expect Labsは、同社ウェブサイトによると、「新世代の音声駆動型アプリケーションを強化する技術開発におけるパイオニアである」。同社の中核製品であるMindMeldは、「あらゆるアプリやデバイス向けに、インテリジェントな音声主導型インターフェイスを企業が作成することを可能にする、初のクラウドベースのサービスである。」(資金1540万ドル)

5.InboundWriter

InboundWriterは、顧客がコンテンツを執筆する前にそのコンテンツのパフォーマンスの可能性を予測するアルゴリズムを活用し、成功の確率が最も高いトピックをおすすめしている。 (資金250万ドル

6.Narrative Science

Narrative Scienceは、人工知能を使用して、会話的言語におけるデータ駆動型の物語を生成している。特許取得済みの同社プラットフォームであるQuillは、異なるソースからのデータを分析し、エンドユーザにとって重要なものは何かを理解し、そしてデータから意味を伝えられるコンテンツを生成する。 (資金3240万ドル

7.Persado

Persadoは、自然言語処理および高度なアルゴリズムを使用して、消費者を行動に駆り立てるために最適化された、機械生成によるマーケティング・コミュニケーションを行う。 (資金3600万ドル

8.Retention Science

Retention Scienceは、行動に関するデータ、取引データ、および人口統計データを分析し、その後機械学習および予測アルゴリズムを応用して、顧客のプロファイルを作成し、購入や拡散の可能性といった顧客行動を予測する。 (資金950万ドル

9. Rocket Fuel

Rocket Fuelは、同社ウェブサイトによると、「ウェブ、モバイル、動画、ソーシャルチャネル全般にわたり、デジタルメディアにおけるマーケティングのROIを改善するため、人工知能の力を活用した自動メディア購入プラットフォームを提供している。」(2013年9月の株式公開前の時点で資金7660万ドル

10.Sentient

Sentientは、同社ウェブサイトによれば、「高度な人工知能技術、大規模な分散コンピューティング、および科学的なアプローチを使用して、幅広い分野において複雑な問題に対する新たなソリューションを提供するため、新たに見つかった戦略の検証を行っている。」 (資金1.438億ドル

Wordsmith for Marketing

製品マーケティング用のAutomated Insights社のWordsmithには、データ分析とレポート作成を自動化するのに人工知能を使用することによって、代理店がどれくらい費用を節約できるか予測するため、ROI計算機が含まれている。

IBMのWatsonは、マーケティング業界の未来を担うのか?

人工知能の話は、IBM抜きには語れない。Deep Blue(チェスチャンピオン)とWatson(Jeopardy!チャンピオン)の開発で、人工知能における革新的進展で名をはせているIBMは、推定500件の人工知能関連特許を所有している。

2013年11月には、IBMはワトソン・エコシステム・プログラムを導入し、開発プラットフォームとしてWatsonを開放することで、企業がWatsonの認知的コンピューティング知能を搭載したアプリケーションを構築できるようにした。 IBMはまた、ユーザが視覚化されたデータを渉猟してデータのパターンを発見し、行動や結果を予測し、またダッシュボードとインフォグラフィックを集めることを可能にする、Watson分析プラットフォームの無料ベータ版を提供している。

IBMは、以下のように発表している

Watsonは、コンピュータというよりも人間のように情報を処理する認知技術である―自然言語を理解し、証拠に基づいて仮説を生成し、その過程を通じて学習していく。(中略) Watsonは、3つの意味で「賢くなる」。すなわち、ユーザから教えられること、過去の相互作用から学ぶこと、新しい情報の提示を受けることの3つだ。これは、組織が自らを取り巻くデータをより完全に理解して使用し、より良い意思決定を行うためにデータを使用できるようになることを意味する。

自然言語処理、仮説生成、および動的学習は、マーケティング業界を変革する技術の中核的要素だ。単に手作業を自動化するだけではなく、人工知能は、マーケティング担当者にとって、データを処理し、パターンを識別し、人間より速く・より安く・より効果的にインテリジェントな戦略やコンテンツを構築する能力を無限に拡張してくれる、認知の層を追加するものなのだ。

次に起こるのは何か?

私が「The Marketing Performance Blueprint」で書いたように、

マーケティングにおけるすべての主要な活動と戦略について、アルゴリズムに基づくレコメンデーションエンジンを想像してみてほしい。レコメンデーションエンジンは、成功の確率が最も高いアクションをお勧めするために、ビジネスやキャンペーンの目標に対して階層化された、過去のパフォーマンスデータ、業界や企業のベンチマーク、リアルタイム分析、および主観的な人間による意見をうまく組み合わせて使用する。こういうツールをマーケティング技術業界の大物が構築や買収した場合、自動化の組み合わせにはアルゴリズム的マーケティング戦略を追加するだろう。

貴社のマーケティングチームが、分析の見直し、パフォーマンス報告の作成とデータの視覚化、ソーシャルメディアを更新するための書き込みと予約、ブログ記事トピックの決定、コピーライティング、コンテンツの見せ方の決定、戦略構築、資源配分のために毎月費やしている時間を考えてみてほしい。

ここで、マシンがこれらの活動の大部分を行い、マーケティング担当者の主な役割は、一から考案するのではなく、見せ方の決定とアルゴリズムに基づくお薦めやコンテンツを強化するだけの場合を想像してほしい。未来は、思っているほど遠くはないかもしれない。

歴史上いつでも、平凡な繰り返し作業から解放されたとき、人間の創造性と創意工夫は、新しい技術革新につながっている。
―IBMワトソングループ上級副社長、 マイク・ロディン


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