企業がソーシャルメディアマーケティングを行うために知っておくべきこと
- 2012年12月05日 13:56
- インバウンドマーケティング
企業のソーシャルメディア運用の実情
大企業の多くがマーケティング会社に自社のソーシャルメディアの運用をアウトソースしています。
新しい技術やプラットフォームが非常に早いスピードで移り変わるオンラインマーケティングの現場では、企業はそのソーシャルメディア等でのマーケティング施策の運用権限を全てアウトソースする会社に手渡さざるを得なくなってきています。
気をつけなくてはならないのは、企業が全てのソーシャルメディア(twitter・Facebookなど)に、十分な経験や知識がない状態でアウトソースしようとする時です。運用方法に詳しくないため、マーケティング会社に自社と顧客とのコミュニケーションをすべて任せることになるからです。
ソーシャルメディア運用をアウトソースする時のポイント
- アウトソース先は、あなたの会社のブランドを理解したうえで運用を行なっていること
- アウトソースする会社はあなたの会社のブランドに影響を与えることができます。消費者とのコミュニケーションを通して、消費者を味方につけることも、敵にすることも自由にできる全権があるということです。
- 自社で必ずソーシャルメディアに対する運用ポリシーもしくはガイドラインを作成し、そのポリシーに基づいて運用すること
- 企業が消費者とコミュニケーションを行うときの考え方、質問に対する回答の仕方、仮に炎上した時の対処方法などを予め定義しておくことが重要です。
- ソーシャルメディアを利用することで、デメリットあるという点も忘れないこと
- ソーシャルメディアを利用したマーケティングは、炎上すると広がりも早く広範囲に渡り、企業にとって悪い印象や否定的な印象を与えてしまうことがあります。
海外でのソーシャルメディアマーケティングの炎上事例
2011年3月9日、米国クライスラー社がデジタルマーケティングのキャンペーンを行うために契約を結んでいた会社が、クライスラー社の工場があるデトロイト地区を冒涜するようなメッセージをクライスラー社の公式twitterアカウントに以下のようにツイートしました。
デトロイトは自動車の都市として有名だけれど皮肉なことに、誰も運転の仕方を知らない
クライスラー社はすぐにそのツイートを削除し、ツイッターアカウントがウィルスに感染したというツイートを流しました。
そのツイートの投稿ミスは、Tweetdeckというツイッターアプリを使ったせいだと責任を原因に、そのソーシャルメディア(twitter)の運用会社は契約を解除されました。担当者が個人のツイッターアカウントとクライスラー社のオフィシャルアカウントの両方を一つのアプリで管理していたからとのこと。
その後、状況は落ち着きましたが、一年後再び事件は起こります。クライスラー社は、「ママブログ」コンテストを開催しましたが、そのキャンペーンは結局座礁してしまいました。ブログを利用し、母親層のコミュニティとの関係を築きリサーチを行うという目的がありましたが、また、クライスラー社は新たにマーケティング会社にそのコンテストの運用を全て丸投げしたのです。
クライスラー社は、そのソーシャルメディアのコンテストも過去に行なっていて実績のあるコンテストだという認識だったのでしょう。しかし、クライスラー社はその認識だけでは不十分だということには気がつかないまま、プロジェクトを進行しました。結果、コンテストで勝つための情報が漏れてしまい、不適切で、不自然な言葉使いのブログの記事が増え、ついにはののしり合戦になってしまいました。その間、アウトソース先の運用会社は、どんどん消費者をコントロールすることができなくなっていきました。
上記の例は、クライスラー社という会社の事件です。このような炎上事例そのものはインターネット上で拡散されましたが、クライスラー社の当初の目的である「車を売りたい」というメッセージとは、まるで関係ない情報が大勢の知られるところとなってしまったという事例です。
日本でも同じような事例が過去にありましたので参考サイトをご紹介します。
- まんべくん Twitter炎上
- まんべくん騒動にみる「炎上マーケティング」の教訓
- 日本未来の党アンケート
- 日本未来の党がネット民に壮絶に馬鹿にされる 日本未来の党がアンケートサイトを閉鎖
一つのtwitterやFacebookのポストが企業を根幹から揺らがすこともあるのです。ドミノピザ、ケンタッキーフライドチキン、バーガーキング、これらの会社は最近、ソーシャルメディアに投稿された従業員の実態を写した映像や写真によるイメージダウンを回復するために、多額の投資をしなければならない状況になりました。
マーケティングとブランディングにおけるデジタルの分野は、落とし穴が潜んでいる可能性があるものとして、Audience社などはソーシャルメディアのネットワーク、フォロワーの獲得などをするための企業選定の担保として2,000万ドル用意したという話もあるぐらいです。
消費者とのコミュニケーションのとり方の好例
米国Smart社の例を紹介します。2012年6月、広告会社のあるクリエイティブ・ディレクターが、Smart Car(Smart社の商品)について皮肉めいたツイートをしました。それを無視するわけでも一般的な返答を返すわけでもなく、Smart Car USAは非常に卓越した対応をしました。お金と時間をかけて非常にユニークなインフォグラフィックを制作することで、彼のツイートを反証してみせました。
発端となった @adtothebone のツイート:
Smart Carに1羽の鳥が糞を落としたのを見た。車はめちゃくちゃに。
(小さい車なので、1羽の鳥の糞でも車が壊れてしまうという皮肉)
Smart Car USAの返信:
1羽だけでは無理だったと思います、@adtotheboneさん。450万羽くらいだと思います。本当に計算してみました。
Smart社はこの返信が多くの人によって拡散され、Smart Carのボディ剛性をアピールできました。上記のような返信ができるようなSmart社の運用体制はどのようだったのでしょう。 企業がソーシャルメディアを活用するときに、運用は社外へのアウトソースであっても自社でソーシャルメディア運用ポリシー・ガイドラインを事前に決めておくということが最も重要です。