営業と恋愛

オータム・フィーリングな草皆です。

半年前、得意先のソーシャルメディア運営のASPツールを提供するプロジェクトチームから相談があり、「エンジニアとテクニカルサポートのみで構成された小さな体制で、どう効率的にユーザーを獲得できるか」といった相談がありました。

そこのチームは専属の営業リソースはなく、アウトバウンド的な取り組みも体力的に難しい状況でした。そこでインバウンドマーケティング的な考え方のアドバイスと HubSpotの導入をサポートした体験を想い出しながら、振り返りたいと思います。

「あのヒトを想う」

僕たちは、未来のその人と”結ばれる”ことを前提に、「あのヒトを想う」ことから取り組みました。

これまで、ユーザーを想起する言葉として使っていた「ターゲット(標的)」という表現をやめて「ペルソナ」と呼ぶことにし、そのペルソナを「結ばれるであろう”あのヒト”」と位置づけました。そして”あのヒト”自身のことを空想する旅に出かけます。赤毛のアンのような空想力を駆使して、架空の人格をハックする楽しい作業でした。

ペルソナ

“あのヒト”のキャラクターを創り上げる過程は、過去、実際お会いした実在の方を思い出し、属性や言動パターン等の記憶と空気感の記憶を探りながら、”いかにも”という人物像に近づけていきました。

「君の名は○○。何歳だね。家族とはこんな想い出、学校ではこんな経験あったね。今の仕事はこんな部署でソーシャルメディアの運営をやっている。そう、悩みや不満はこれ。だから、こんな検索をするんだね..」

“あのヒト”は、検索窓にこう入力(すると想像)したのです。

検索結果

「出会い、そして予感」

なんとか、検索結果を通して「出会う」ことができました。決して偶然ではなく、事前に「あのヒト」が検索するであろうワードを先回りして予測し、意図的にブログ記事を投稿しておいたから必然です。

でも、まったく安心できません。出会いから、予感のステップに発展しなければ、単なるすれ違いと同じ。私は、満を持してHubSpotの「バイヤーズ・ジャーニー」を机に叩きつけ、AWARENESS(認知段階)の次ステップ「CONSIDERATION」(検討段階)に進み、予感を感じてもらえる”種を蒔く”ことを提案しました。

buyers Journey

心に残るのは、なんといっても「プレゼント」でしょう。

たまたま通りかかった家の前に、”あのヒト”が欲しいと思うであろうプレゼントを想像し、見える形(eBook:ホワイトペーパー)にして、さりげなく置くのです。そして、自らの意思で受け取ってもらえるよう配慮し、受け取る際は、必ず連絡先をもらうようにしました。連絡先は大事です、合コンと同じです。

cm_LP

ホットなうちに「ラブコール」

連絡先をゲットしたら、すかさずラブコールを打つことにしました。
“あのヒト”は、きっとこれまで抱えていた悩みが顕在化し、それを解決する手段を意識するようになる。そうなると、自分たち以外の候補(恋敵)も意識することでしょう。比較・検討は避けられません。でも、考えるきっかけを与えた僕たちは、「ホット」なうちにアプローチするアドバンテージがあります。

私達は、”あのヒト”がプレゼントを受け取った後、時間を空けずに誠実なメールを届けることにしました。「14日間無料でトライアル」の体験インセンティブを添えて。

cms_mail

「同棲」と「対話する努力」

自分の良さを口で伝えるだけでなく、実際に試してもらうことは、言い換えれば、契約前の「同棲」の体験のようなものです。

そして、特に同棲中「対話する努力」も大事にすることにしました。いつでも気軽に相談できる、話せる人がいる。それに適した「チャット」「フリーダイヤル」「直接訪問」の手段で、身近な存在である努力をします。

cms_chat

そのうち、機能スペックの比較軸だけでなく、使い勝手・サポートの視点も加わった満足度が加わり、結果、正式に”結ばれる(契約いただく)“件数が上がるようになりました。

という、お話です。

最後に

このプロジェクトチームが取り組んだインバウンドマーケティングの取り組みは、今もなお実践され、小さなプロジェクトではあれど、効率的かつ効果的な取り組みとして継続されています。

comnico Marketing Suite

ラブストーリーのような設計は、HubSpotというツールを活用することで、ぐっと具体的になり、かつそのコンセプトから逸脱しずらくする効力があるのだと、この事例を通して感じています。

大事なのは、単なるコンテンツマネジメント・システムではなく、無機質なマーケティングオートメーションでもない、ハートウォーミングな「ビジネスの恋愛支援ツール」であることです。

どなたか忘れましたが偉い上司が酒の席で「営業は恋愛と似ている」と言っていた記憶があります。ずいぶん格好つけた説教だなと聞き流していましたが、ここに来てようやく”ピン”と来るようになりました。最近の”小さい秋、見つけた”です。

それではまた。


HubSpotガイド